2010年4月7日水曜日

システム要素の不均等発達の法則

 実際問題を解決したり技術発展を予測したりするにあたっては、技術システムの要素におけるボトルネックを正確に把握することが大変重要です。更に、要素が抱えている矛盾を見いだし、まさにこの箇所に対する継続的改善に力を注ぐ必要があります。

 システム要素の発達は不均等に進み、システムが複雑であればあるほど、その要素の発達は不均等になります。

 発達に伴い、技術システムの要素は人や環境からの変化する要求に従って改良されていきます。技術システムには、様々なライフステージにある、異なる発達段階の構成要素が含まれます。これらの不一致は矛盾という形で表現することができます。
特に、際立った矛盾がシステムの最も弱い部分であるボトルネックに現れます。
 システム要素の発達が不均等である理由のひとつとしてリソースによる制約があげられます。まず、物質資源に加えて開発、実装や市場参入の時間です。そして、この段階におけるかなりの制約は問題解決のための手法の欠如によりもたらされます。

●S字型カーブ

 技術システム(や生体システムなどの他のシステム)の生涯は、システムの主要パラメーターが時とともに変化していく様子を示すことにより描くことができます。
 このS字型カーブは、技術システムとその主要パラメーター(速度、出力、効率など)がその一生の間にどのように変化するかを示しています。システムによってカーブの形状は異なりますが、あらゆるシステムに対する共通点として、以下の段階を含むことがあげられます:
  • 幼少期
  • 成熟期
  • 老齢期
 技術システム全体の発達は、その要素の不均等な発達により、不規則に進むということに注目すべきです。
 幼少期(第1区分)では、技術システムはゆっくりと発達します。通常、この開発段階は先行システムの成熟期老齢期と重なります。新システムはまだ弱く、その主要パラメーターは旧システムのパラメーターよりも悪いかも知れません。若いシステムの開発のためのリソースが不足しているからです。でも、新たな作動原理は大きな潜在的可能性を秘めています。
 旧システムが残っていると、若い競合システムが出現しにくくなります。そして、旧システムが消えて初めて新システムの急速な発展が始まります(下図のα点)。成熟期(第2区分)の始まりです。
 ある時点(下図のβ点)から発達速度が鈍り始め、老齢期(第3区分)が始まると、新たな若い技術システムがいつでも出現しそうになります。下図のγ点を過ぎると、技術システムは新たなシステムに置き換わるか、あるいは、自転車の場合のように、ずっと変わらなくなってしまいます。

 発達過程において、技術システムは絶えざる変化に見舞われています。材料は変わり、また、より進歩した要素に置き換わる部分もあります。したがって、ある技術システムの生涯を表す線はそのシステムを構成する複数のサブシステムに対応するS字型カーブとして示すことができます(下図):

                      時間 →

 技術システムは以下のように多くの側面で不均等に発達します:
  • 技術システムの発達速度はその生涯における様々な段階で異なります
  • 技術システムの要素であるサブシステムの発達段階は時とともに異なります
  • それぞれのサブシステムの年齢は異なります
  • 技術システムの発達速度はその生涯における特定の段階内でも異なります
  • 条件が変わることにより、過去に排除されたサブシステムが一時的に復活することがあります
 技術システムの様々な要素に対して矛盾を見いだすことができますが、そのうちどの矛盾が最も制限的であるかを評価する必要があります。これに際し、選択した機能を実行しようとする場合に生じる有害作用や矛盾の数などが指標となります。

 時間に伴う発達により、技術システムは変化していきます。いくつかのサブシステムは、特定の条件下でより効率的なものに置き換わります。外部状況や人的要求も変わります。これらの変化が蓄積し、実際の使用や人的改良の過程でシステムの要素間や他のシステムとの間で対立が生じ、新たな発達の可能性のもととなります。
 この発達は時間に対して均等には進みません。システム内には最善のパラメーターを有する要素もあれば、システムの全体的な発達の足を引っ張るものもあります。
また、(技術システムの機能を実行する)主要パラメーターの意味合いも時に伴う不均等な変化に依存します。

このように

「システム要素の発達は不均等に進み、システムが複雑であればあるほど、その要素の発達は不均等になる」わけですが、

これをシステム要素の不均等発達の法則 と言います。


Copyright notes

This book has been developed in the frame of the TETRIS project funded by the European Commission—Leonardo da Vinci Programme.
The partners of the project consortium are:
AREA Science Park (Italy) www.area.trieste.it (project coordinator)
ACC Austria Gmbh (Austria) www.the-acc-group.com
European Institute for Energy Research - EIfER (Germany) www.eifer.uni-karlsruhe.de
Fachhochschule Kärnten (Austria) www.fh-kaernten.at
Harry Flosser Studios (Germany) www.harryflosser.com
Higher Technical College Wolfsberg (Austria) www.htl-wolfsberg.at
Jelgava 1. Gymnasium (Latvia) www.1gim.jelgava.lv
Siemens AG, Sector Industry, Industrial Automation and Drive Technology (Germany) w1.siemens.com/entry/cc/en/
STENUM Environmental Consultancy and Research Company Ltd (Austria) www.stenum.at
Technical Institute for Industry “Arturo Malignani” (Italy) www.malignani.ud.it
The educational center for adults of Jelgava (Latvia) www.jrpic.lv
University of Florence (Italy) www.dmti.unifi.it

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