2010年8月31日火曜日

飛行機システムの柔軟化

●システム進化の第3期 – システムの柔軟化

 第3期でシステムの各部分はすぐに自身のイメージを失い始めます。
 永久接続されていた部分が可撓接続に変わります。
 設計者は剛性要素をより柔軟そしてより動的にしようとします。
 剛性な設計に接合部が持ち込まれ、その数が増え、柔軟なシステムへ遷移してゆきます。

・例. 飛行機

  • 設計者はC-47輸送機用に可変ピッチのプロペラを使いました
  • AV-8Bハリアー戦闘機は可変方向のジェット排気を利用した垂直離陸用に設計されています
  • 最新の軍用機には翼形状を変えられるものもあります
  • コンコルドTU-144は機体の先端を上下に動かすことができます

2010年8月26日木曜日

自動車システムの発達

●システム進化の第2期 – 特定の新システムに特化した部品の改良と発達

 第1期では、発明家が新システム創造に向けて主に既存システムの部品を利用します:
 エンジンは自動車用に設計されたものではなく、伝達装置も自動車用ではなく、制御装置も自動車用ではなく、車台も自動車用ではなく、車輪も自動車用ではありません。
 飛行機、船、その他のあらゆるシステムについても同じことが言えます。

 第2期は特定の新システムに特化した部品の改良と開発の段階です:
 自動車用のエンジン、自動車用の伝達装置、自動車用の制御装置、自動車用の車台、自動車用の車輪などです。

 発明家は、より良い形状とそれらの関係をどのように最適化するかを模索します。最善の材料、大きさなどを求めます。発明家は、種々の目的や条件に合わせて分化したシステムのグループを創り出します。

・例 自動車
 
 自動車進化の第2段階では、種々の目的や条件に合わせて特別に設計された部品を備えた様々な車両を認識することができます:

2010年8月25日水曜日

自動車システムの創造

●システム進化の第1期 – 新システム創造


 新システム創造の主要な3段階:

  1. 新システムの主要機能とその目的を定めます。
  2. エネルギー源と既存システムから得られる最高の部品を新システムの4主要部(エンジン、伝達装置、ツールそして制御装置)用に選択します。主要部のいくつかを発明者自身で作成しなければならないこともあります。
  3. 既存システムから選んだすべての部分と新システム用に設計した新たな部分の間に存在するあらゆる相互作用(機能)のパラメーターを同期させて新システムのデザインを創造します。部品がうまく組み合わせられた場合にのみ、機能する新システムが誕生します。

 ●第3段階

  • 新たに創造されたシステムは技術的新生児のようなものです – うまく動作しない部分もあり、すべてがよく調整されているわけでもありません
  • 最初の自動車、飛行機、船 – エンジン出力は非常に低く、伝達装置はエネルギーを使い過ぎ、制御できるパラメーターはほとんどありませんでした
  • しかし、このような状況であっても、部品がうまく組み合わせられているという点で新システムは大きな希望を与えてくれます
  • 新システム進化の第1期を完了させるために新システムの最適な構造や形状を決める必要があります: 飛行機の翼は何枚にするのがよいか、自動車の車輪はいくつがよいか、どのような種類のエンジンを選択すべきか、などです
・例 自動車進化の第1期

 自動車にとって最も都合の良い構造や形状を決めなければなりません:
自動車にとって車輪は何本が最適なのか、どのようなエンジンを選んだらよいのか、などです。

2010年8月24日火曜日

携帯電話

●システムの制御性/柔軟性向上の法則(ダイナミズムの法則)

 技術システムの進化は以下の方向に進みます:

• 制御性の増大
• “剛構造” から柔構造へ
• “固定パラメーター” から柔軟なパラメーターへ


 → 進化の傾向

  • 固い要素のあるエンジニアリング・システムは動作条件にあまり適応できません
  • 設計者は、固い要素をより柔軟でよりダイナミックにしようとします。固い設計に対して継ぎ手が持ち込まれ、その数が次第に増え、柔軟なシステムへ移行してゆきます
  • エンジニアリング・システムの要素が分子または場のレベルで実装された場合に最大の柔軟性が得られます
●例 広げられる画面付きの携帯電話
 大きな画面で見たい時には左右に広げます:

  文字の直接入力もできるようになりますね。

2010年8月23日月曜日

TRIZ協会だより Vol.9

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 ●○● TRIZ協会だより Vol.9 ●○●
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2010年8月23日発行

【目次】______________________________

|1|第6回日本TRIZシンポジウムのお誘い
|2|「ITとソフトウェア」研究分科会活動を開始 参加者募集
|3|協力団体からの案内 ~日本創造学会第32回研究大会のお知らせ~
|4|ホームページ更新情報
|5|協会からのお知らせ
|6|おわりに

 こんにちは。大変な暑さが日本列島を襲っておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 来る9月9日から11日、いよいよ待ちに待った第6回 日本TRIZシンポジウムが開催されます。
 体調管理には重々お気をつけいただき、元気に”厚木”でお会い致しましょう。

日本TRIZ協会 広報委員会 
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●   1.第6回日本TRIZシンポジウムのお誘い
○● 
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 ご承知のとおり、来月9月9日(木)~9月11日(土)の日程で、待ちに待った
第6回TRIZシンポジウムが開催されます。
 厳しい中ではありますが、皆様にとって必ずや有意義な時間をすごしていただけるものと自信を持ってお勧め申し上げます。
 また、今年の予稿集は原則USB配布となりますので、ぜひPCをお持ちくださるようお願い致します。

<第6回日本TRIZシンポジウム>

 主題: 「新分野適用応と普及拡大を目指して」
 名称: 日本TRIZ協会主催 第6回日本TRIZシンポジウム 2010
 主催: NPO法人 日本TRIZ協会
 日時: 2010年 9月 9日(木) 10:00 ~11日(土) 17:00
 会場: 神奈川工科大学 (神奈川県厚木市)
 内容: 基調講演 2件 (海外)、チュートリアル 1件 (国内) 、テーマ講演 5件
      (国内)、一般発表 (オーラル/ポスター)33件 (国内 21、海外 12)
 言語: 日本語と英語 (主要な発表は、和・英スライドの同時投影)
 費用: 日本TRIZ協会ホームページ 第6回シンポジウム
      参加費一覧表をご参照下さい http://www.triz-japan.org/

 参加申込み締め切りが 8月25日(水) に迫ってまいりました。
 まだ参加申し込みがお済みでない方は、お早めに参加申し込みをいただき
ますようお願いするしだいでござます。
 日本TRIZシンポジウムの参加申し込みは、協会HP内「第6回TRIZシンポ
ジウム 参加申込書/参加費内訳詳細(Excel)」によりお願いいたします。
http://www.triz-japan.org/

~前日開催のプレシンポジウムセミナー~

 名称: 『Nikolai Khomenko: OTSM-TRIZ入門セミナー』
 主催: 日本TRIZ協会
 共催: (学) 産業能率大学、『TRIZホームページ』基金
 日時: 2010年 9月 8日(水) 10:00 - 17:00
 会場: (学) 産業能率大学 サテライトオフィス (東京駅 隣接)
 内容: 講演と討論。講師: Nikolai Khomenko
 言語: 英語だけ (日本語通訳なし)
 費用: 10,500円(テキスト代、昼食弁当代を含みます。)

 募集定員である20名分がほぼ受付完了といった好評をいただいております。
 あと数名の参加者のみが受付可能でございます。
 満席の際は、ご容赦下さいませ。

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●   2.「ITとソフトウェア」研究分科会活動を開始 参加者募集
○●   
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 ITとソフトウェア研究分科会の活動計画概要
          主査 庄内 亨(日立)/ 前田 卓雄(匠システムアーキテクツ)

 かねてより会員のなかにIT及びソフトウェアへTRIZを適用したいとの問題意識があり、また昨年の第5回TRIZシンポジウムで活発な議論も行われ、ITとソフトウェアを中心に扱う分科会設立の声があがりました。
 この度、TRIZ協会より設立が承認され、活動を開始する運びとなりました。
 皆様の積極的なご参加を期待致しております。

1.強いものづくりに潜む問題

 ガラパゴス化した日本のものづくりという指摘、
「技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか」
(妹尾著、技術・ビジネスモデル・知財を絡めた方法論を主張)や
「危機の経営 ~ サムスンを世界一企業に変えた3つのイノベーション」
(吉川・畑村著、日本と衝突しない所からスタートし、徐々に席巻していく。
 戦略とマッチングした技術・商品開発を主張)など、
我国のものづくりに警鐘を鳴らす書籍を読まれた方も多いことと思います。
 こうした指摘から明らかなことは、技術を事業から孤立して追求することは技術者のエネルギーを浪費し、ひいては日本の強い(とされている)「ものづくり」力
さえも減衰させてしまいかねないことです。
 この分科会では、ITとソフトウェア分野の技術的発明問題にTRIZを適用・応用し、アイデアを生み出す方法とアイデア生成を加速する方法を研究します。

2.TRIZの取り上げ方

 (a)TRIZを今後ますます需要が拡大する ITとソフトウェアの創造と日本の強いものづくり強化に効果的かつ効率的に役立てる。

 (b) このため、TRIZをメカ・エレキ分野に限定することなく、現場のITとソフトウェア技術者がITとソフトウェアの複合的なシステム製品のものづくり能力強化にTRIZを活用しやすくする。

 (c) また、技術に閉じた革新に留まらず、技術を中核とした経営革新も絡め、グローバル競争環境における強いものづくりの実践強化に役立てる。

3.取り上げるテーマ

 (a) ITとソフトウェアに関わる発明(新製品開発)問題

 ITとソフトウェアが登場する製品を幅広く対象とする。具体的なテーマ選定は、分科会に参加したメンバーが経験あるいは知識を保有するドメインを考慮し、
別途決定する。

 (b) ITとソフトウェア技術者がTRIZを簡便に活用可能な手法

 活用を阻害する要素を問題として捉え、応用・普及を考慮したアプローチを
追求する。

 (c) IT・ソフトウェア等の技術を含むマネジメント問題

 技術以外のビジネスモデル、マネジメントなども絡めた具体的なテーマ設定を行い、実用性・事業性のあるものを生み出せる方法を研究する。

4.具体的な進め方

 (a) 主査など、運営体制

 当分科会を運営推進するため、当初、主査・副査を設ける。
 また、参加を希望するメンバーの中から分科会の運営推進に協力的な
メンバーによる増強を適宜実施し、運営を強化するものとする。

 (b) 運営方法

  ①月に1回程度、ミーティングによる議論の場(3~4時間)を設ける。
    場所は当面、産能大学のサピアタワーの会議室を借用する予定。

  ②日常の運営は、メール交換での意思疎通を中心に行う。

  ③分科会メンバーにはボランティアでの実質的参加が期待される。

  ④分科会メンバーはTRIZ協会会員であることが望ましいが、主査・副査が必要と認めた場合は、必ずしも会員に限定しない。

  ⑤研究テーマによっては知的財産権・守秘義務等の問題が発生する可能性があるが、個々のテーマごとに分科会メンバーに同意を求めた上で研究を実施するものとする。

  ⑥1年後には、TRIZシンポジウムで発表することを目指す。

  ⑦上記以外の内容に関しても変更をした方がよいと思われる点があれば、進めながら分科会で協議して適宜対処する。

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●   3.協力団体からの案内
○●    ~日本創造学会第32回研究大会のお知らせ~
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 日本創造学会第32回研究大会は近畿大学が後援し、
世界8カ国の著名な研究者が参加する国際大会として開催されます。

 開催日程:  2010年10月16日(土)~17日(日)
 大会テーマ: 『経営と教育における創造性とイノベーション』
 開催地:    近畿大学東大阪校舎(大阪府東大阪市小若江3-4-1)
 主催:     日本創造学会 後援:近畿大学
 内容:     基調講演、研究発表、懇親会 等
 参加費:    事前振込4000円(当日受付払いの場合は5000円)

10月16日

 基調講演1: 野中郁次郎(一橋大学名誉教授)
 基調講演2: ボニエ・クレモンド(ジョージア大学教授)

10月17日

 基調講演1: ホスト・ゲシュカ(ゲシュカ&パートナー コンサルタント会長)
 基調講演2: ウィリアム・ナシュ(テキサスA&M大学名誉教授)

 国際セッションでは世界8カ国の研究者がゲストスピーカーとして参加

※日本創造学会ホームページ参照 → http://css.jaist.ac.jp/jcs/

 参加方法・詳細プログラムにつきましては日本創造学会事務局までご連絡ください。
                     日本創造学会事務局 jcs@soken-ri.co.jp

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●   4.ホームページ更新情報
○● 
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 日本TRIZ協会公式ホームページの更新を随時行っています。
 最新情報は以下のようになっております。

H22/08/10
 「ITとソフトウェア研究分科会」が発足しました。「研究会活動」をご覧ください。
 第6回TRIZシンポジウム2010の厚木バスセンター発 神奈川工科大学行急行バス案内を掲載しました。

H22/07/28
 第6回TRIZシンポジウム2010の参加申し込み手続きを更新しました。

H22/07/21
 第6回TRIZシンポジウム2010のプログラム一覧を更新しました。

H22/07/02
 「教育とTRIZ研究分科会」が発足しました。「研究会活動」をご覧ください。

H22/06/14
 「第6回TRIZシンポジウム2010概要」を更新し、プログラム詳細情報・参加者申込書など掲載しました。
 日本TRIZ協会理事長の「開催の案内にあたって」を掲載しました。
 「第6回TRIZシンポジウム2010発表者の皆様へ」を掲載しました。
 第6回TRIZシンポジウム プレセミナー「OTMS-TRIZ入門セミナー」の案内を掲載しました。

 是非ともご覧ください → http://www.triz-japan.org/

2010年8月22日日曜日

セマンティック技術

 セマンティック技術は深い意味関係を抽出します。

●例文
「作動装置が扉を上げ、それは隔壁と油圧油から構成されるが、液体の漏出が作動装置の摩耗と 故障を招く可能性がある。」

・キーワード処理 = 検索
 従来のキーワード処理では名詞句の集まりが得られるだけで、句や品詞の間の関係が分かりません:

・意味処理 = 探求
 内在する意味を抽出します:

2010年8月21日土曜日

高速実行原理

● 発明原理 21 – 高速実行

 プロセスまたはプロセス内の一つの段階(例えば、破壊的、有害あるいは危険な作業)を高速で行う

 例えば、ろうそくの火に指をかざすと火傷しますが、くぐらすだけなら平気です:

 火渡りの場合も、なるべく高速で渡ったほうが良さそうですね:

http://blog.mykumagaya.com/archives/cat_50033668.html?p=2

2010年8月20日金曜日

馬車

●例

 技術的矛盾(TC)
 物理的矛盾(PC)

 技術的矛盾(TC)から物理的矛盾(PC)への変換:

2010年8月19日木曜日

連絡道

●上位システムへの移行の法則

 この法則は、システムがその生涯を通じて一般的に、単一システムから

► 二重システムおよび多重システム
► 種々のシステムの組み合わせ

の方向へ進化していくことをうたっています。

 種々のシステムの組み合わせの方向へ進化していく例として
連絡道を見てみましょう:

 橋とトンネルが組み合わされていますね。

 日本では、東京湾アクアライン連絡道が有名です:

2010年8月18日水曜日

●上位システムへの移行の法則

 この法則は、システムがその生涯を通じて一般的に、単一システムから

► 二重システムおよび多重システム
► 種々のシステムの組み合わせ

の方向へ進化していくことをうたっています。

 二重システムおよび多重システムの方向へ進化していく例として
銃を見てみましょう:
 銃身の数が次第に増えていますね。

2010年8月17日火曜日

風力タービン

●資源の定義と活用の方法
 
 資源の一覧表を埋めるに当たってお勧めの3ステップは以下の通りです:
  1. ステップ I プロジェクトや問題の “仕様に対する要求事項” の一覧表を作成する
  2. ステップ II 物質と場の資源の一覧表を作成し、それらのパラメーターを明確にする
  3. ステップ III プロジェクトや問題の目的を達成するために資源のどのパラメーターを変更すべきか明確にする
・例: 風力タービンの翼

ステップ I
 プロジェクトや問題の “仕様に対する要求事項” の一覧表を作成します

 風力タービンの翼のトルクを増大しなければなりません
ステップ II
 物質と場の資源の一覧表を作成し、それらのパラメーターを明確にします

  1. システム内の物質-場の資源:
    1.1. 物質とそのパラメーター:
      1.1.1. 翼
           1.1.1.1. 翼の重さ
           1.1.1.2. 翼の長さ
           1.1.1.3. 翼の幅
           1.1.1.4. 翼表面の面積
           1.1.1.5. 翼材料の比重
           1.1.1.6. 重心の位置
      1.1.2. 回転部
           1.1.2.1. 回転部の回転数
           1.1.2.2. 回転部と地表間の距離
    1.2. 場とそのパラメーター:
      1.2.1. 翼表面の流風圧
      1.2.2. 求心力

ステップ III
 プロジェクトや問題の目的を達成するために資源のどのパラメーターを変更すべきか明確にします

 ‘風力タービンの翼のトルク’ を増大させるために翼の ‘重心位置’ パラメーターを変えるという選択が行われ、翼の重心位置が翼の端の方にずらされました:

2010年8月16日月曜日

場の資源

・ 無料の辞書のウェブサイトによると、「場」の定義(http://www.thefreedictionary.com/Field)は、以下のようになります:

「重力、電磁力、流圧など、領域の各点において決定できる値を持つ物理特性により特徴付けられる空間の一領域」

・ 場の資源を活用することは、システム内外において利用可能で、問題解決やシステム開発に役立つ可能性があるあらゆる場を用いることを意味します

●例 高速道路における輸送の重さと動きからのエネルギー取り込み

 イスラエルの会社INNOWATTECH(http://www.innowattech.co.il/)は、交通量の多い高速道路や鉄道路線の下に設置した発電機からエネルギーを取り出そうとしています。この発電機は、機械的圧力から電気エネルギーを生成できる物質を含んでいます。
 高速道路の道路区間下に設置される最大の圧電発電機は100キロワットの電気を発電します。
 発電機は、計画された補修作業時に道路表面から深さ3cmのところに敷かれます。圧電材料は30年間機能しますが、これは、ほとんどの道路の平均余命を超えています。
 この会社はこの方法により3~10[セント/キロワット] でエネルギーを生成しようと努力しています。なお、熱電併給システムにより発電される電気のコストは約5[セント/キロワット] です。

2010年8月15日日曜日

時間資源

 時間は、どこでも、誰でも、何にでも使える万能の資源です。

 私たちの目標は、システム(プロセス、製品 / 装置)内で時間と関連するものすべてを明確にし、時間パラメーターが変更できることを利用して問題を解決し、システムを開発することです。

● 例 アンプル – 時間

 アンプルは薬を液状に格納するのに用いられます。アンプルの首は、密封するための炎を用いて溶着します。ガラスを溶かすために炎の温度はかなり高くなくてはならず、これに必要とされる高温が問題を生じます ― 薬を過熱してダメージを与えてしまうのです:

 パラメーター “溶着時間” をシステムの時間に関連するパラメーターのひとつとして選ぶことができます。

 溶着時間を減らせば、首から薬に熱が伝導するのに必要な時間よりはるかに短くなります。この場合、薬はダメージを受けずに済みますが、首を溶着するのに充分な熱エネルギーを供給できません:
 溶着用熱エネルギーの不足分は溶着温度を上げることによって補いましょう。これにより、このプロセスのパラメーター間で許容できるバランスを保つことができます:
  • 高温下における短時間の溶着でもアンプルの高品質密閉には充分です
  • 溶着時間が短いので、首から薬へ熱が伝わる暇が無く、薬がダメージを受けずに済みます

2010年8月14日土曜日

歯ブラシ

 工学システムの機能モデルはシステムの各構成要素および上位システムの各要素の機能を記述します。

●機能モデルの要素

 価値方法論では機能モデルの構築にあたり以下の4要素を用います:
  • 目的物(産物)
  • 構成要素
  • 作用
  • 上位システム
●目的物
 技術システムや工学システムの目的物とは
システムの主要(基本)機能が対象とする物のことです

・例
 ‘歯垢’ は、主要機能である ‘取り除く’の対象となる物、すなわち「目的物」です。
 ‘歯茎’ は、もうひとつの主要機能である ‘マッサージする’の対象となる物、すなわちもうひとつの「目的物」です。
 この例では、複数の主要機能と目的物が存在しています。

●主規則

 • システムの目的物はシステムから独立している
 • システムの目的物はシステムから取り去ることができない
 • システム自体が常に主要機能を提供する
 • システムには複数の主要機能があり得るので、複数の目的物を持ち得る

2010年8月13日金曜日

TRIZ推進問題

 本職における忙しさを考えると、TRIZを習得するための研修やワークショップは短いほうが良いのですが、それなりに内容を身につけようとすると、ある程度の長さが必要となります:

 このような物理的矛盾問題は、時間によって分離し、分割原理や抽出原理を適用して解決しましょう。

 価値(Value)V は、機能(Function)F の総和をコスト(Cost)C の総和で除したものとして定義されます(上段の式):

 機能(Function)F の総和は、発揮された能力aMc の総和からそれに要した活動AT の総和を差し引くことにより得られ、コスト(Cost)C の総和はシステムと上位システムにおいて要した資源(Resource)R と発生する害(Harm)H の総和により得られます(下段の式)。

 シックス・シグマ、リーン生産方式、 制約理論、ブレインストーミング、
6 Thinking Hats, 総合的品質管理などの手法ではそれぞれの用語を使いたいのですが、TRIZ関連の活動ではTRIZ用語を使いたいところです:

 このような物理的矛盾問題は、空間によって分離し、連結(結合)原理や局所性質原理を適用して解決しましょう。

2010年8月12日木曜日

IntelにおけるTRIZ

 IntelにおけるTRIZの導入と推進の流れを見てみましょう:

●1996-2001 調査段階

 1996 サンタクララ技術開発でTRIZソフトウェアの先行的研修を開始
      “Sputnik” と “Bubbles” という名の2つのプロジェクトで大きな成果
 1998 アセンブリー技術開発およびフラッシュメモリー事業に導入

●2002-2004 普及初期ならびに製造部門への導入

 2002 アセンブリー/テスト工程における初のTRIZ研修 – Cavite(フィリピン)
 2003 製造/ソート工程における初のTRIZ研修 – Kiryat Gat(イスラエル)
 2004 その他の事業所での研修(製造/ソートおよびアセンブリー/テスト)

●2005-2006 製造部門における全世界的採用

 2005 レベル2とレベル3に対する初の研修
 2006 レベル1とレベル2の研修はすべて内部化

●2008-2010 ついにR&Dも

 2008 設計およびアーキテクチャ技術のリーダーに対する研修
 2009 戦略計画部門に対する研修
      広範な課題にわたるワークショップの実施

 この流れを分野ごとのS字型曲線で示すと以下のようになります:

2010年8月11日水曜日

推進モデル

 TRIZを組織に導入する代表的な推進モデルとして以下の3種類が考えられます:
  1. トップダウン
  2. 水平展開
  3. 拡散
 ここでは、以下のような組織を想定してみましょう:

 トップダウンモデルの場合、以下のような順に浸透してゆきます:

   CEO → 部 → ライン管理者、管理 → 技術者 → 専門家

 水平展開モデルの場合、例えば以下のような順に浸透してゆきます:

   ライン管理者 → 専門家 → 部、技術者 → CEO → 管理

 拡散モデルの場合、最初に例えば以下のように3つの部署に導入し、

 これらを源として周囲に広がってゆき、最終的には全組織に浸透します:

2010年8月10日火曜日

導入に関連する矛盾

 TRIZの導入に関連して解決すべき矛盾のいくつかについて見てみましょう。

● 専門家のジレンマ

 革新することを仕事として選んだ場合、面白い仕事に就けますが、職を失ってしまう危険性が高くなります(仕事の面白さ⇔失業の危険性):

●“お金を見せてください” 症候群
 
 TRIZに対して投資してもらうためにはそれが有効であることを示さなければなりませんが、有効性を示す活動を行うには先行投資が必要となります(投資⇔有効性):

● “ろうそくを吹き消すことはできても火事を吹き消すことはできない”
Peter Gabriel - Biko
 広く受け入れてもらうためには対象とする部署が多いほうが好ましいのですが、きちんと根付かせるためには小規模のほうが緻密に活動できます(規模⇔緻密性):

2010年8月8日日曜日

特徴転用

 TRIZを標準的な管理ツールと統合してみましょう:

 TRIZの5要素を標準的な管理ツールの対応する要素と特徴転用により統合すると以下のような結果が得られます:

2010年8月7日土曜日

浸透性の革新文化

 変化のほとんどは危険なものとして無意識の抵抗を受けることになります。

 TRIZは主として個人のスキルを向上させてくれますが、これをシステムレベルでの出来事ととらえた場合、それを支援してくれる上位システムも築くことを忘れないようにしましょう。

 技術者の場合、革新手法の早期採用者が新たな変異体として生じます:
 これらのうち、自分を支援してくれる上位システムも築くことに成功した技術者が予備選抜されます:

 予備選抜を通過したもののうち自然淘汰されなかったものが体系的革新を吸収
できます:

2010年8月6日金曜日

自然淘汰

 進化においては、まず新たな変異体が生じます:

 これらのうちいくつかのものが予備選抜されます:

 予備選抜を通過したもののうち自然淘汰されなかったものが生き残ります:

2010年8月5日木曜日

進化のメカニズム

 進化におけるある世代は、時間、直前の世代、直前の世代で決まる環境という3つの要素により決まります:
 現状のシステムは、アトラクターに引き付けられます:
 
ただし、制約から外れる部分は切り落とされます:

2010年8月4日水曜日

進化

 進化とは、
適応能力の向上を目指してゆるやかな変更を加えながら
特徴をある世代から次の世代に引き継ぐ過程
を指し、
この過程は以下の要素の組み合わせに基づいています:

  1. 多様性
  2. 資源をめぐる競争
  3. 選抜
 まず、第1世代の一部が選抜されます:

 次に、選抜されたものが第2世代を形成します:

 更に、第2世代の一部が選抜されます:

 そして、第3世代が形成されます:

 このような過程が繰り返されます。

2010年8月3日火曜日

Intel社

 Intel社は世界最大の半導体製造業者であり、その事業内容は以下の通りです:
 過去40年間、Intel社はその産業において “先を行く存在” であり続けてきました。
 このInte社lの成功を支えてきた主エンジンは常にイノベーションでした。

 それなのに何故TRIZを追求するのでしょうか?
 浸透性の(組織の一部ではなく、あらゆる部分に浸透して効果をもたらす) 革新的な企業文化の形成を目指しているからです。