あらゆるシステムの発達は、理想性の度合いが増大する方向に進みます。
理想性の概念は次の式で説明することができます: I = E/C
ここで、
I: 理想性
E: 最大限の効果
C: 最小限のコスト
です。
つまり、より大きな効果をより少ないコストで得られるほど理想性が高くなります。
また、同じコストであれば効果を増大させることにより、そして、同じ効果であればコストを減らすことにより理想性を向上できます。
なお、この場合のコストには、お金だけではなく、エネルギーや時間など経済、社会、環境などの観点も含まれます。
●理想システム
コストが全くかからずに機能を実行するシステムのことです。
上の式に当てはめると、C = 0 なので、I = E / 0 = ∞ となり、理想性の度合いは無限大になります。
「タダほど(理想性が)高いものはない」ということです。
●理想解
マイナス効果を何一つ引き起こさない解決策のことです。
一般的に理想解は達成不可能ですが、解決策の評価基準として用いられます。
理想解と比較することにより、解決策をより客観的に評価することができます。
●理想最終結果(Ideal Final Result - IFR)
相容れない二つの要求に起因する具体的な矛盾を解消した姿のことです。
これにより、矛盾を解消する解決策に対する評価の基準が決まります。
すなわち、理想最終結果に近い解決策ほど優れたものと見なされます。
●問題状況に対する解決策の「最も望ましい結果(Most Desirable Result - MDR)」
問題状況に対する解決策の結果として得たい最大限の目的のことです。
これは、ある問題状況において必要なあらゆる理想システムと理想最終結果を統合したものであり、理想解へ最大限に近づくことを目的としています。
●S字型カーブ
技術システム(や生体システムなどの他のシステム)の生涯は、システムの主要パラメーターが時とともに変化していく様子を示すことにより描くことができます(下図):
S字型カーブ
このS字型カーブは、技術システムの主要パラメーター(速度、容量、生産性など)がその一生の間にどのように変化するかを明確に示しています。システムによってカーブの形状は異なりますが、共通点として、以下の段階を含むことがあげられます:
- 幼少期
- 成熟期
- 老齢期
技術システムの発達過程においてその主要パラメーターは増大し、システムは良くなり、理想に近づいていきます。分析するシステムのこれまでの開発に関する特許やその他の情報をもとにシステムの主要パラメーターの時間による変化をS字型カーブとして描くことにより、システムが発達過程のどの段階にあるかを知ることができます。
理想性向上には以下のようにいくつかの段階があります:
- コストは増えるが、システムのパラメーターをそれ以上に改善する
- コストを変えずに、システムのパラメーターを改善する
- コストは増えるが、システムに新機能をそれ以上に追加する
- コストを変えずに、システムに新機能を追加する
- コストは減らし、システムのパラメーターを改善する
- コストは減らし、システムに新機能を追加する
技術システムを他のシステムと統合したり、その主要機能を新システムに組み込んで自身はサブシステム化したりすることにより、もとのシステムの姿を完全に消すことができた場合、大幅にコストを減らすことができます。
技術システムの発達段階(S字型カーブの第2、第3段階)における存続特性として、あらゆるシステムの発達は、理想性の向上へ向かい、以下の段階で構成されます:
- 主要パラメーターの増大
- 機能を実行するためのコストの減少および新たな機能の付加
- 他システムとの統合による機能の移動または他システムの機能の実行
このように
「あらゆるシステムの発達は、理想性の度合いが増大する方向に進む」わけですが、
これを
システムの理想性向上の法則 と言います。
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