2010年2月7日日曜日

オーブン料理

前回はクラス1-1「物質-場の合成と改善」に属する標準解法でしたが、
今回はクラス1-2「有害作用の除去」に属する標準解法の紹介です:

・標準解法1-2-1 「外来物質による有害作用の除去」

有害作用の除去は、悪さをするツールが作用の対象に対して如何なる望ましくない効果をも及ぼさないように物質-場システムを改良することにより行います。

物質-場モデル内の二つの物質間に有用な作用と有害な作用が働いていて、この二つの物質を接触させなくてもよい場合、これらの間に第三の物質を挿入することにより問題を解決できます。





標準解法1-2-1: 外来物質による有害作用の除去

●例「オーブン料理」

オーブンで油を含む食材を調理すると天板に油がこびりついてしまい、後始末が大変ですね。
なるべく楽するためにはどうすればよいでしょうか?

・解決策

この状況は物質-場的には、左下図のように、S1の天板が機械場を介してS2の食材を支えるという有益な作用を働かせている一方で食材が天板を汚してしまうモデルとして表現できます。

天板を汚すという有害作用を阻止できる物質を何か探してきましょう。クッキングシートなどを敷くと天板を汚さずに済みそうですね(右下図)。





標準解法1-2-1の適用例:
S1とS2の間に第三の物質S3を挿入してS2が生じる二次的有害作用を除去

クッキングシートが油を受け止めてくれるので天板は汚れずに済みます(下図)
Copyright notes

This book has been developed in the frame of the TETRIS project funded by the European Commission—Leonardo da Vinci Programme.
The partners of the project consortium are:
AREA Science Park (Italy) www.area.trieste.it (project coordinator)
ACC Austria Gmbh (Austria) www.the-acc-group.com
European Institute for Energy Research - EIfER (Germany) www.eifer.uni-karlsruhe.de
Fachhochschule Kärnten (Austria) www.fh-kaernten.at
Harry Flosser Studios (Germany) www.harryflosser.com
Higher Technical College Wolfsberg (Austria) www.htl-wolfsberg.at
Jelgava 1. Gymnasium (Latvia) www.1gim.jelgava.lv
Siemens AG, Sector Industry, Industrial Automation and Drive Technology (Germany) w1.siemens.com/entry/cc/en/
STENUM Environmental Consultancy and Research Company Ltd (Austria) www.stenum.at
Technical Institute for Industry “Arturo Malignani” (Italy) www.malignani.ud.it
The educational center for adults of Jelgava (Latvia) www.jrpic.lv
University of Florence (Italy) www.dmti.unifi.it

2010年2月6日土曜日

吸収冷却装置

 久しぶりにクラス1「作用の改善および有害作用の除去」に属する標準解法の紹介です:

・標準解法1-1-8-2 「最小場と活性物質による選択的効果」

 ある特定の場が物質(対象物)に及ぼす効果を対象物の異なる場所で変えたい場合、作用の選択的効果が必要となります。

 ある対象物に働く有用な場の効果を場所によって変えたい場合、対象物全体に対して最小場を働かせ、効果を増やしたい場所には活性物質を持ち込みます。








標準解法1-1-8-2: 最小場と活性物質による選択的効果

●例「吸収冷却装置」

 不思議な感じもしますが、冷風を作り出す直接燃焼式吸収冷却装置では100℃を超える水蒸気が必要になります。エアコンは晴れた日の多い夏場によく使われるので、太陽で水を熱することができます。でも、真夏の太陽下に一日中さらされてもプールの水温は沸点には達しませんよね。少量ずつ、ボイラーのパイプなどで熱するほうがずっと簡単ですが、それでも太陽光をそのまま利用したのでは望む結果が得られません。100℃以上の水蒸気を得るためにはどうすればよいでしょうか?  

・解決策:

 左下図は電磁波である日光が周辺を暖めることはできても、パイプ内の水を100℃に熱するのには不充分である様子を示したモデルです。







標準解法1-1-8-2の例: 放射面型集光器

 太陽に照射強度を上げてもらうことはできないので、それをしてくれる物質S2を見つける必要があります(右上図)。放物面鏡の焦点をパイプに合わせれば、日光の効果を何倍にも拡大してパイプ内の水温を短時間で100℃より高くまで上げることができます。

Copyright notes

This book has been developed in the frame of the TETRIS project funded by the European Commission—Leonardo da Vinci Programme.
The partners of the project consortium are:
AREA Science Park (Italy) www.area.trieste.it (project coordinator)
ACC Austria Gmbh (Austria) www.the-acc-group.com
European Institute for Energy Research - EIfER (Germany) www.eifer.uni-karlsruhe.de
Fachhochschule Kärnten (Austria) www.fh-kaernten.at
Harry Flosser Studios (Germany) www.harryflosser.com
Higher Technical College Wolfsberg (Austria) www.htl-wolfsberg.at
Jelgava 1. Gymnasium (Latvia) www.1gim.jelgava.lv
Siemens AG, Sector Industry, Industrial Automation and Drive Technology (Germany) w1.siemens.com/entry/cc/en/
STENUM Environmental Consultancy and Research Company Ltd (Austria) www.stenum.at
Technical Institute for Industry “Arturo Malignani” (Italy) www.malignani.ud.it
The educational center for adults of Jelgava (Latvia) www.jrpic.lv
University of Florence (Italy) www.dmti.unifi.it

2010年2月4日木曜日

 前回に引き続き、今回も標準解法5-1-1-1 「制約条件下におけるシステムへの物質の導入」例の紹介です:

●例「窓」

 窓には換気と採光の他に断熱の機能がありますが、窓ガラスの断熱性が不充分なこともあります。ガラスを厚くすれば断熱性は高められますが、高価で重くなってしまいます。また、木などの断熱材を使うことも考えられますが、そうすると採光に支障をきたしてしまいます。
 採光に影響を与えずに断熱性を高めるためにはどうすればよいでしょうか?

・解決策:

 不透明な断熱材で窓ガラスを覆ったのでは採光が損なわれてしまうので、標準解法5-1-1-1を適用して、「空間」を導入することになります。でも、どこにどのような空間を導入すればよいのでしょうか? 空気には優れた断熱性があるので、これを、二枚の窓ガラスの間にはさみこめば、採光をほとんど妨げることなく断熱性を高めることができそうですね(下図)。
複層ガラス窓の断面図

Copyright notes

This book has been developed in the frame of the TETRIS project funded by the European Commission—Leonardo da Vinci Programme.
The partners of the project consortium are:
AREA Science Park (Italy) www.area.trieste.it (project coordinator)
ACC Austria Gmbh (Austria) www.the-acc-group.com
European Institute for Energy Research - EIfER (Germany) www.eifer.uni-karlsruhe.de
Fachhochschule Kärnten (Austria) www.fh-kaernten.at
Harry Flosser Studios (Germany) www.harryflosser.com
Higher Technical College Wolfsberg (Austria) www.htl-wolfsberg.at
Jelgava 1. Gymnasium (Latvia) www.1gim.jelgava.lv
Siemens AG, Sector Industry, Industrial Automation and Drive Technology (Germany) w1.siemens.com/entry/cc/en/
STENUM Environmental Consultancy and Research Company Ltd (Austria) www.stenum.at
Technical Institute for Industry “Arturo Malignani” (Italy) www.malignani.ud.it
The educational center for adults of Jelgava (Latvia) www.jrpic.lv
University of Florence (Italy) www.dmti.unifi.it

2010年2月3日水曜日

湯呑み

 今回は一足飛びにクラス5「メタ解決策、ヘルパー」に属する標準解法の紹介です:

・標準解法5-1-1-1 「制約条件下におけるシステムへの物質の導入」

 システムに物質を導入しなければならないのにそれが許されない場合、物質の代わりに「空間」を用いることができます。

 「空間」は一般的には空気や固体物質内に形成された隙間などのように気体の形をしていますが、液体(泡)や遊離体など他の物質で形成されていることもあります。

●例「湯呑み」

 熱いお茶を呑もうという時、湯呑みも熱くなってしまいますよね。
指に火傷をしないような湯呑みにするためにはどうすればよいでしょうか?

・解決策:

 断熱材で湯呑みを覆ったのでは陶器の質感が損なわれてしまうので、標準解法5-1-1-1を適用して、「空間」を導入することになります。でも、どこにどのような空間を導入すればよいのでしょうか? 空気には優れた断熱性があるので、これを、熱いお茶に接している湯呑みの内側と指に接している外側の間に持ち込む形状にすればよさそうですね。(下図)。
指に火傷をしない湯呑みの形状(右は断面図)

Copyright notes

This book has been developed in the frame of the TETRIS project funded by the European Commission—Leonardo da Vinci Programme.
The partners of the project consortium are:
AREA Science Park (Italy) www.area.trieste.it (project coordinator)
ACC Austria Gmbh (Austria) www.the-acc-group.com
European Institute for Energy Research - EIfER (Germany) www.eifer.uni-karlsruhe.de
Fachhochschule Kärnten (Austria) www.fh-kaernten.at
Harry Flosser Studios (Germany) www.harryflosser.com
Higher Technical College Wolfsberg (Austria) www.htl-wolfsberg.at
Jelgava 1. Gymnasium (Latvia) www.1gim.jelgava.lv
Siemens AG, Sector Industry, Industrial Automation and Drive Technology (Germany) w1.siemens.com/entry/cc/en/
STENUM Environmental Consultancy and Research Company Ltd (Austria) www.stenum.at
Technical Institute for Industry “Arturo Malignani” (Italy) www.malignani.ud.it
The educational center for adults of Jelgava (Latvia) www.jrpic.lv
University of Florence (Italy) www.dmti.unifi.it

2010年2月2日火曜日

TRIZマスターIsak Buhkmanによる日本での打ち合わせ/講義/トレーニング

 第1回イスラエルTRIZコンファレンスでTRIZ チュートリアルとTRIZマスター公開討論会に登壇したIsak Buhkman氏が3月15日~4月13日の台湾におけるプロジェクト終了後、米国へ戻る途中で日本に立ち寄る用意があるそうです。Isakとの打ち合わせまたはIsakによる講義やトレーニングを希望される方はお知らせください。また、直接のやり取りを希望される方にはメールアドレスをお教えいたします。
 なお、Isakは昨年の6月と12月に台北で国際TRIZ協会認定コースを開催しています(詳細はhttp://www.triz.com.tw/english/ )。このようなコースに参加を希望される方の数が揃うようであれば、日本でも初めて開催できますので、参加ご希望の方はお知らせください。

2010年2月1日月曜日

「第1回イスラエルTRIZコンファレンス」の概要[5/5]

TRIZマスター公開討論会:

 TRIZマスター(Vladimir Petrov, Yehuda Stupniker, Isak Bukhman)による公開討論会では2つの質問が出されました: “TRIZは科学か?” そして “TRIZは教育分野へどのように反映されているか?” の2つです。

 最初の質問に対する回答は一致していました – TRIZは科学です。

 二つ目の質問に対する3人のパネリストの回答は調和可能なものでした。Vladimirは、TRIZが教育分野へは充分に反映されておらず、この状況を改善すべきであるとの見解でした。Yehudaは、 TRIZ教育の道徳的側面とTRIZ展開の責任に聴衆の目を向けました。Isakは、従来の学位を有する一つの専攻としてTRIZを工科大学に取り入れることを提案しました。

2010年1月31日日曜日

「第1回イスラエルTRIZコンファレンス」の概要[4/5]

学校および大学におけるTRIZ:

「創造性と教育」
Yuli Tamir教授, イスラエル国会(Knesset)議員

 Yuli Tamir教授は第1回イスラエルTRIZコンファレンスに特別ゲストとして招かれ、前文部大臣の立場からイスラエル国会議員および教育政策を代弁して講演しました。
 話の中で、Yuli Tamir教授は以下のテーマについて説明しました:
• 正規教育には学校で創造性を開発するために必要な "エンジン" が備わっていない
• イスラエルの教育システムにおける正規教育と創造性教育の適切な組み合わせはどうあるべきか?
• イスラエルの指導プログラムには "創造的思考能力" のための新しい方法論を組み込むべきである