2011年11月23日水曜日

ARIZ-85C(第1~9部)

 ARIZ-85Cは第19部で構成されますので、以下にそれぞれの部について説明します:

1     問題モデルの構築と発明標準解の適用
 ARIZの最初の部分の目的は、解決する問題のモデルを構築することです。第1部の終わりには、初期状況から選んだ問題が技術的矛盾(システムの品質を評価するために用いられる2つのパラメータ(評価パラメータ)間の対立を示す矛盾)として定式化されます。
 このアルゴリズムの第2部に進む前にTRIZの標準解が使えないか確かめてみる必要があります。
 重要なのは、初期問題状況の記述を問題モデルに変換後、問題状況を生ずる最重要な構成要素だけがモデル記述に残ることです。
 結果的に、問題状況記述に対してTRIZで蓄積された発明的標準解を適用できる形を与えやすくなります。

2     利用可能な資源の分析
 ARIZの第2部は、得られた問題モデルを分析してその問題の根底にある矛盾を見出す準備のために設けられています。より正確に言うと、この部分は問題解決に使えるかも知れない資源(特に、空間、時間、物質および の資源)を分析するために設けられています。
 ARIZの第1部と同様、第2部には心理的惰性を抑止するための作用が含まれています。

3     個別資源に関するIFRと物理的矛盾の分析による満足のいく解決アイデアの構築
 ARIZは、問題の根源を浮き彫りにし、個別の問題状況において得られる資源を用いてそれらを取り除くように作られています。このアルゴリズムの第3部では、望ましい結果とその実現を阻む矛盾に関する記述が引き続き行われます。
 ARIZの第3部の最初の目的は、第1部で得られた問題モデルを詳細化することです。この目的は、アルゴリズムの第2部で行ったモデル分析により得られた追加情報を用いて実施されます。この新しい詳細モデルは種々の規則に基づいて構築され、第1部で作られたモデルとは根本的に異なります。
 この部分では、どの結果が問題に対する解決策と見なされうるか判断し、使用可能な資源を用いて望ましい結果を得ることを阻止している数々の矛盾を認識する必要があります。
 この部分の二つ目の目的は、問題全体に対する概念解の組み立てに用いる部分解を得ることです。得られた部分解を統合し、最も望まれる結果に最大限に近づく一つの解決策システムを提供します。

4     資源の活用
 ARIZの第4部は、利用可能な資源が問題解決にどのようにして活用できるかを理解し、既に見出した解決策の効果を向上させるためにあります。
 4部には、システム進化理論の観点から、より進んでいると考えられるものを得ることを目的とした一連のオペレーターが含まれています。
 解決策の中に気に入ったものがあれば、ARIZの第7部へ飛んでARIZの規則に従って解決策を予備的評価することができますが、満足できるものが見いだせなかった場合には、このアルゴリズムの第5部に進むことになります。

5     TRIZに蓄積された知識集の活用
 5部において、問題解決者は、標準的な解決方法を様々な形で記述する種々のTRIZツール(標準解のシステム、物理的矛盾の解決原理、イフェクツ)を参照します。
 これらのデータベースを利用しても満足できる解決策が得られない場合には、ARIZの第6部へ進む必要があります。

6     初期問題記述の変更ないしは修正
 このアルゴリズムの第6部では、ARIZの第1部から分析をやり直すのに先立ち、問題の定義またはモデルを変更あるいは修正するための提案がなされます。

7     得られた解決策の評価
 ARIZの第7部では、TRIZの観点から解決策を評価し、得られた解決策を強化します。
 でも、これは予備的評価に過ぎず、この評価の過程で、得られた解決策を詳細化したり改善したりする新たなアイデアが生まれる可能性があります。
 ARIZによる問題解決が専門家の固定観念を克服して問題解決者をその専門的能力外に引き出すこともあり、このような場合には、得られた解決策の評価を各分野の専門家に委ねる必要があります。
 解決策が受け入れられたならば、特許申請の可能性について弁理士の方に相談してみると良いでしょう。

8     適用範囲の拡大と創造的な解決策の標準化
 ARIZの第8部では、最終的な解決策の実装の準備をし、この解決策が様々な領域を含む他の問題を解決するのにも使えないか調べてみます。
 これにより、更なる実用化へ向けた、より汎用的な標準形を解決策に与えることができます。
 この部分はまた、解決策に対してより優れた特許権保護を持たせる(特許傘の構築)ためにも必要です。
 さらに、この部分により、解決策の効果を高めてその実装により余得を引き出すことができます。

9     解決過程の分析と省察
 ARIZの第9部では、行った作業の核心の理解を深めます。この部分の目的は、問題解決の分野においてできる限り多くのことを学ぶことにより、個人やチームの創造力を伸ばすことです。
 この部分はまた、行っている作業について省察する能力を養うためにもあります。
 原則として、ARIZの各ステップ完了時には、その遂行内容、遂行中に直面した困難、克服した困難、ARIZ提案の履行精度、遂行内容とARIZ提案内容との差異の有無および差異が生じた原因に関して省察すべきです。
 これらの問いに対する回答により省察能力が養われ、トレーニング用問題を通じてこのアルゴリズムを消化吸収しようとする際、ARIZに基づく問題解決プロセスが理解しやすくなります。実際の問題に対するARIZの専門的な適用の際には、これらによりARIZ自体を更に進化させ、新たに出現する一段と複雑な問題を解決するための有効性が高められやすくなります。
 TRIZに限らず、省察能力が最も重要な一般的思考能力のひとつであることには注目すべきであり、ARIZの第9部はこの基本的な思考能力を養う手助けをしてくれます。

Copyright notes

This book has been developed in the frame of the TETRIS project funded by the European Commission—Leonardo da Vinci Programme.
The partners of the project consortium are:
AREA Science Park (Italy) www.area.trieste.it (project coordinator)
ACC Austria Gmbh (Austria) www.the-acc-group.com
European Institute for Energy Research - EIfER (Germany) www.eifer.uni-karlsruhe.de
Fachhochschule Kärnten (Austria) www.fh-kaernten.at
Harry Flosser Studios (Germany) www.harryflosser.com
Higher Technical College Wolfsberg (Austria) www.htl-wolfsberg.at
Jelgava 1. Gymnasium (Latvia) www.1gim.jelgava.lv
Siemens AG, Sector Industry, Industrial Automation and Drive Technology (Germany) w1.siemens.com/entry/cc/en/
STENUM Environmental Consultancy and Research Company Ltd (Austria) www.stenum.at
Technical Institute for Industry “Arturo Malignani” (Italy) www.malignani.ud.it
The educational center for adults of Jelgava (Latvia) www.jrpic.lv
University of Florence (Italy) www.dmti.unifi.it

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