2011年1月12日水曜日

吸光(Absorption)

● 説明
 吸光(きゅうこう、absorption)とは、物質を吸収する現象のことである。
量子論によると、物質の固有状態(電子の軌道や、分子振動回転などの状態)は連続でなく、飛び飛びの値をとる。この状態間のエネルギー差と等しい波長の光が物質に照射されると、そのエネルギーを吸収して状態の遷移が起こり、物質は励起される。
実際には、物質は光エネルギーを吸収したままなのではなく、すぐに励起状態から基底状態に戻り、この際に吸収したエネルギーを放出する。しかし、エネルギーの一部は無輻射過程を経るため、吸収した光と完全に同じ波長・強度の光として放出されるわけではない。したがって、光の一部は物質に吸収され続けるように観測される。
通常の場合、紫外・可視・近赤外領域の波長では電子遷移が生じ、赤外領域では分子の振動遷移あるいは回転遷移が生じる。
また、物質に白色光を照射し、その一部が吸収された場合、その物質は吸収された光の補色として観察される。

● 活用例(フーリエ変換赤外反射吸収分光法
Fourier transform IR reflection absorption spectroscopy[FT-IRAS])

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