今回は20枚目の最後の「スライド19」です:
ここでご説明する Problem Chain Analysis(PCA)は、一つの問題から抽出可能な全ての矛盾関係、即ち、PTCモデリングを見つけ出す方法です。
このPCAは、既に2003年に、ヴァシリ・レニアシンと一緒にTRIZジャーナル上で発表した Harmful Machine Theoryに基づいています。
根本的な原因を見つけて解消しようというRCAや Cause Effect Chain Analysisの概念から発展し、根本的な原因を断つ方法を研究したのです。
このような遮断は、あらゆる問題の連鎖ごとに行われてもよいので、全ての矛盾関係が抽出されます。
このようにして抽出された矛盾関係に対しては、PTCモデリングを介して自然に解決策の方向を提示することができます。
PCAを介して導き出された全ての解決策の方向は、既に試みられてきたアイデア、現在進めている方向、それまでは考えられなかったアイデアなどに分類することができます。
この中でも特に、それまでは考えられなかった方向のPTCモデリングを選んで各種TRIZ技法を集中的に適用してみた場合に、良い成果を上げることができました。
PCA分析に関する具体的な説明は、時間の関係上、次の機会に譲ることといたします。
TRIZ適用プロセスのレベル5は、PTCモデリングとPCA分析を含むあらゆる問題に対して適用できるプロセスであるので、今後も更に発展さてゆくべきであると考えます。
2011年10月3日月曜日
2011年10月2日日曜日
PTCモデリング [18/19] モダンTRIZ、TRIZプロセス レベル4 ①
今回は19枚目の「スライド18」です:
TRIZ適用プロセスのレベル4のテーマは、
ということと関わっています。
TRIZ適用プロセスのレベル4のテーマは、
「いかにして全ての矛盾を体系的に導き出すか」
ということと関わっています。
適用プロセスのレベル3で説明しましたPTCモデルは、一つの問題に対して3~6個位存在します。
できるだけ全ての矛盾を見つけ出すこと、それが肝心です。
現代のTRIZでは常に、矛盾を導き出すことが核心にありました。
コンピュータプログラムを活用する人もあれば、根本原因分析を発展させた Cause Effect Chain Analysisを適用したりする人もいます。
しかし、根本原因分析を発展させた Cause Effect Chain Analysis には、根本的な弱点があります。
根本原因分析(Root Cause Analysis - RCA)では、根本的な原因を見つけてからそれを解消しなければなりませんが、それを解消できない理由も存在するために、そこで矛盾を抽出することが Cause Effect Chain Analysisの核心となります。
しかし、実際の問題では、一つの問題から様々な矛盾を抽出することができます。
より正確に言うと、多数のPTCモデリングを抽出することができるのです。
従って、Cause Effect Chain Analysisの弱点が見えてくるようになります。
2011年10月1日土曜日
PTCモデリング [17/19] TRIZプロセス レベル3
今回は18枚目の「スライド17」です:

TRIZ適用プロセスのレベル3は、すでに説明しましたPTCモデリングです。
レベル3の大きな意義は、ある問題における物理的矛盾と技術的矛盾までを把握し、問題に対する分析をある程度の深さまで完了することです。
これは、物理的矛盾を問題、技術的矛盾を問題の原因としてそれぞれ設定して問題分析を行い、クロスチェックにより理想的な解決策の方向を設定し、その結果決まった方向へ資源を最大限に投入する方法に関する手順です。
すでに説明しましたTRIZ適用プロセスのレベル1と2に基づいてこの段階まで進めることができれば、TRIZ適用プロセスのレベル3に入ったと言えましょう。
ことエンジニアリング分野において、この段階に到達するためには深い分析と探求を行わなければなりません。
また、この段階に到達するまでには、ARIZで言うところの Part 1.1 ~ 3.4 を遂行することになります。
ARIZの適用も、ある意味では、TRIZ適用プロセスのレベル3に該当します。
でも、ここから、エンジニアリングTRIZとビジネスTRIZの違いが現れます。
エンジニアリングTRIZは、ARIZにおける展開のように進め方が複雑ですが、ビジネス分野は人間が主役であるため、このようなPTCモデリングへ容易にたどり着くことができるのです。
このPTCモデリングが私の推奨するビジネスTRIZの重要な一部となっています。
2011年9月30日金曜日
PTCモデリング [16/19] TRIZプロセス レベル2: まとめ
今回は17枚目の「スライド16」です:

それでは、TRIZ適用プロセスのレベル2をまとめてみます。
TRIZを適用した多くの場合、あたかも「矛盾を抽出して方法論を適用し、アイデアを導き出して問題を解決した」ように見えます。
これは間違っているとは言えませんが、それがすべてではありません。
このような発表だけを見ていたのでは、以下のようなことが起こる可能性が高いです:
「TRIZではやっぱり矛盾が大事だね。
矛盾を先に見つけて解決しなくちゃ。
私も適用してみよう。
あれ、矛盾が見つからない。
物理的矛盾は見えやしないし、技術的矛盾は多過ぎるし。
矛盾を見つけるのは諦めよう。
うちの会社にはTRIZは合わないみたい。」
既に申し上げましたように、実際にTRIZを適用した時の実像は次のようなものです:
「矛盾が見つからないな。
しょうがないから、発明原理でも適用してみよう。
あれ、いいアイデアが出た。
会社で発表しろと言うから、パワーポイントスライドを10枚程度用意しなければならないな。
TRIZで論理を構成しなければならないんだ。
あれ、こういう矛盾が問題の核心だったんだ。
こうすれば、10枚は簡単に書けるな。
そうか、こういう物理的矛盾だから、時間による分離じゃなくて空間による分離からはこういうアイデアも出るんだ。
こういうのを全部導き出して特許の請求項に入れてしまおう。」
こんな感じで実際には作業したのですが、発表会場では結論だけを話し、
「矛盾を抽出し、方法論をこのように活用してアイデアを導き出してからこんな風に適用しました」
と説明するのです。
先ほど申し上げましたように、ペーパーワークは、嘘さえつかなければ、視覚化により人間のミスを防止する重要な技法であり、デ・ボノ博士の水平思考のように、更に良いアイデアを導き出す創造的な作業プロセスです。
私が提案するTRIZ適用プロセスのレベル2は以下のようなものです:
まず、矛盾を見つけることに注力します。
たくさん時間をかけて入念に問題を分析したら容易に見つけることができるかも知れませんが、ほとんどの場合、重要な矛盾を一気に見つけることはできません。
こういう時には諦めずに、まず発明原理と分離の原理を、ブレインストーミングをする感じで適用してみることをお勧めします。
現代人であれば誰しも持っている考えに発明原理や分離の原理を適用してみれば、解決策が少しずつ姿を現し始めます。
このようにして些細な解決策でも導き出されたならば、何故それが解決策になり得るのか考えてみてください。
そうすれば、その時こそどんな矛盾があるのかを確信できるようになります。
このように矛盾を定義してからは、TRIZにより提示される方法論や技法に従って展開し、更に良いアイデアを導き出すことができるようになります。
このやり方は、15年以上に渡って現場でTRIZを適用して大きな成果をあげてきた多数の企業における実態に対する私の経験に基づくものです。
2011年9月29日木曜日
PTCモデリング [15/19] TRIZプロセス レベル2 ③
今回は16枚目の「スライド15」です:

ある質問が思い出されます:
世の中にペーパーワークではないことが果たしてあるのでしょうか。
実際、世の中に存在するほとんどすべての仕事において仕事と文書が別々になっています。
職場での仕事というものはそのようなものではないでしょうか。
以下の2つの条件さえ満たされば、ペーパーワークが非難される理由は無いと思います:
1. 嘘をつかないこと
2. 紙一枚に収まるような内容を2~3枚に引き伸ばさないこと
この二つの事項を守りさえすれば、ペーパーワークこそ真の仕事であると言えましょう。
まず仕事をしてから、報告書を作成しているうちに視覚化され、見逃している部分を指摘されることで、次は更に改善された仕事ができるようになるのです。
新入社員では仕事と文書の隔たりが最も大きく、30年以上のベテランでは両者がほとんど一致するようになります。
一方、創造性の分野で名高いデ・ボノ博士の水平思考の核心過程は次のような順番となっています:
そこで、まず、40の発明原理と分離の原理をブレインストーミングで適用してみます。
この作業により導出された解決策を分析してみると、どのような矛盾が存在していたのか確信が持てるようになります。
これが、グルーピングを介しての概念導出の活動となります。
このように確信を持って矛盾を導出するようになると、更に良い代替案を導き出すことができます。
飛行機の車輪の問題を物理的矛盾として定義し、既に出たアイデアが時間による分離に基づくものである場合には、空間による分離から更に他のアイデアを導き出すことができないでしょうか。
これが、デ・ボノ博士のいうところの代替案の段階です。
多くの企業のTRIZユーザーは、実際にはこのような過程を経て社内でTRIZの適用を進めています。
すなわち、アインシュタインが唱えたのと同じ筋道なのです。
最初から矛盾を見つけ出したのではなく、まず発明原理を適用して解決策を導き出したからこそ問題を定義することができたのです。
その上、このようにして矛盾を確信した後には、デ・ボノ博士の言うところの代替案段階のように、更に良いアイデアを導き出すことができたのです。
多くのエンジニアがこのように仕事をしてきており、これをTRIZ適用プロセスのレベル2としましょう。

ある質問が思い出されます:
世の中にペーパーワークではないことが果たしてあるのでしょうか。
実際、世の中に存在するほとんどすべての仕事において仕事と文書が別々になっています。
職場での仕事というものはそのようなものではないでしょうか。
以下の2つの条件さえ満たされば、ペーパーワークが非難される理由は無いと思います:
1. 嘘をつかないこと
2. 紙一枚に収まるような内容を2~3枚に引き伸ばさないこと
この二つの事項を守りさえすれば、ペーパーワークこそ真の仕事であると言えましょう。
まず仕事をしてから、報告書を作成しているうちに視覚化され、見逃している部分を指摘されることで、次は更に改善された仕事ができるようになるのです。
新入社員では仕事と文書の隔たりが最も大きく、30年以上のベテランでは両者がほとんど一致するようになります。
一方、創造性の分野で名高いデ・ボノ博士の水平思考の核心過程は次のような順番となっています:
ブレインストー ミング → グルーピング → 概念 → 代替案
そこで、まず、40の発明原理と分離の原理をブレインストーミングで適用してみます。
この作業により導出された解決策を分析してみると、どのような矛盾が存在していたのか確信が持てるようになります。
これが、グルーピングを介しての概念導出の活動となります。
このように確信を持って矛盾を導出するようになると、更に良い代替案を導き出すことができます。
飛行機の車輪の問題を物理的矛盾として定義し、既に出たアイデアが時間による分離に基づくものである場合には、空間による分離から更に他のアイデアを導き出すことができないでしょうか。
これが、デ・ボノ博士のいうところの代替案の段階です。
多くの企業のTRIZユーザーは、実際にはこのような過程を経て社内でTRIZの適用を進めています。
すなわち、アインシュタインが唱えたのと同じ筋道なのです。
最初から矛盾を見つけ出したのではなく、まず発明原理を適用して解決策を導き出したからこそ問題を定義することができたのです。
その上、このようにして矛盾を確信した後には、デ・ボノ博士の言うところの代替案段階のように、更に良いアイデアを導き出すことができたのです。
多くのエンジニアがこのように仕事をしてきており、これをTRIZ適用プロセスのレベル2としましょう。
2011年9月28日水曜日
PTCモデリング [14/19] TRIZプロセス レベル2 ②
今回は15枚目の「スライド14」です:

この問題を解決した人の同僚は、発表会場の裏で眉を顰めています。
何故なら、それが真実ではないからです。
発表者は、実際にはそのような形で作業していませんでした。
同僚はそれを隣で見ていたので、眉を顰めて独り言を発するのです。
一般的に、ほとんどの状況で、それはペーパーワークなのです。
多数のグローバル企業であげられたTRIZによる大きな成果は、このようなペーパーワークによる場合が多いのです。
実際には、以下のような状況が繰り広げられていたのです:
まず、TRIZの教育を受け、その理論の斬新さに惹かれます。
多分、
そこで、自分の問題にもTRIZを適用してみます。
あるいは、TRIZを適用すべき状況が訪れます。
最初に問題の背景をまとめた上で、まず矛盾を見つけ出そうとします。
TRIZとは、矛盾を導き出して方法論を適用し、矛盾を解決するものであると学んだからです。
ところが、以前、「物理的矛盾が問題を定義する」と言いましたが、実は、問題を定義することが最も難しいのです。
それほど大事なものがそう易々と導き出せるはずがありません。
アインシュタインは、
TRIZを適用してみようと取り組み始めたエンジニアに、物理的矛盾はなかなか見えてきません。
そして、技術的矛盾はあまりにも多く存在します。
そのため、どの技術的矛盾を選択したら良いのか確信を持つことができません。
あまりにも多い技術的矛盾、そして、見えない物理的矛盾。
これが実際の状況なのです。
従って、大多数の方々は、学ぶ時点ではすぐに理解できるものの、実際の適用は難しいという理由でTRIZの本を閉じてしまいます。
恐らく、矛盾を見つけ出すことが難しいからでしょう。
多くの人が諦めてしまう中で、一部の人は
「何が矛盾であるかは分からないけれど、発明原理と分離の原理だけでも使ってみよう」
という思いでTRIZを適用してみることになります。
そうすると、実に良い結果が導き出されます。
数多くの現場で感じたことですが、矛盾はさておき、分離の原理や40の発明原理を適用するだけでも相当の成果を導き出すことができることを確信しています。
さて、このようにして良い結果が得られると、企業ではこれを発表させようとします。
社長を前にした発表となるため、10枚程のパワーポイントスライドを用意しなければなりません。
そこで、彼は物語を作り始めます。
学んだものはTRIZだから、TRIZに合わせて物語を作るのです。
即ち、
「そうだ、TRIZ理論に合わせてみたら、これとあれとの間に技術的矛盾をがあるからだ。矛盾マトリックスともピッタリだ。」
と言いながら物語を進めます。
ここに及んで、矛盾を見つけ出したのです。
これによって矛盾を確信し、10枚のパワーポイントスライド作成のために理論を展開していくうちに、更に良いアイデアまで導き出されるようになります。
結局、最終的には、
「このようにして矛盾を見いだし、方法論を適用し、発明原理を利用してアイデアを導き出し、問題を解決しました」
と発表することになります。
こうして物語を作り上げて発表するため、隣で見ていた同僚から「ペーパーワークだ」と指摘されるようになるのです。
これが、現場で実際によく見られる光景です。

この問題を解決した人の同僚は、発表会場の裏で眉を顰めています。
何故なら、それが真実ではないからです。
発表者は、実際にはそのような形で作業していませんでした。
同僚はそれを隣で見ていたので、眉を顰めて独り言を発するのです。
「あれはペーパーワークだ」
そうなんです。 一般的に、ほとんどの状況で、それはペーパーワークなのです。
多数のグローバル企業であげられたTRIZによる大きな成果は、このようなペーパーワークによる場合が多いのです。
実際には、以下のような状況が繰り広げられていたのです:
まず、TRIZの教育を受け、その理論の斬新さに惹かれます。
多分、
「TRIZほど強く惹きつける理論は多くはないだろう」
と思うようになります。 そこで、自分の問題にもTRIZを適用してみます。
あるいは、TRIZを適用すべき状況が訪れます。
最初に問題の背景をまとめた上で、まず矛盾を見つけ出そうとします。
TRIZとは、矛盾を導き出して方法論を適用し、矛盾を解決するものであると学んだからです。
ところが、以前、「物理的矛盾が問題を定義する」と言いましたが、実は、問題を定義することが最も難しいのです。
それほど大事なものがそう易々と導き出せるはずがありません。
アインシュタインは、
「問題を定義するなら、まず問題を解きなさい」
と言いました。 TRIZを適用してみようと取り組み始めたエンジニアに、物理的矛盾はなかなか見えてきません。
そして、技術的矛盾はあまりにも多く存在します。
そのため、どの技術的矛盾を選択したら良いのか確信を持つことができません。
あまりにも多い技術的矛盾、そして、見えない物理的矛盾。
これが実際の状況なのです。
従って、大多数の方々は、学ぶ時点ではすぐに理解できるものの、実際の適用は難しいという理由でTRIZの本を閉じてしまいます。
恐らく、矛盾を見つけ出すことが難しいからでしょう。
多くの人が諦めてしまう中で、一部の人は
「何が矛盾であるかは分からないけれど、発明原理と分離の原理だけでも使ってみよう」
という思いでTRIZを適用してみることになります。
そうすると、実に良い結果が導き出されます。
数多くの現場で感じたことですが、矛盾はさておき、分離の原理や40の発明原理を適用するだけでも相当の成果を導き出すことができることを確信しています。
さて、このようにして良い結果が得られると、企業ではこれを発表させようとします。
社長を前にした発表となるため、10枚程のパワーポイントスライドを用意しなければなりません。
そこで、彼は物語を作り始めます。
学んだものはTRIZだから、TRIZに合わせて物語を作るのです。
即ち、
「何故14番の発明原理が適用されたのだろう」
と悩んでいるうちに、「そうだ、TRIZ理論に合わせてみたら、これとあれとの間に技術的矛盾をがあるからだ。矛盾マトリックスともピッタリだ。」
と言いながら物語を進めます。
ここに及んで、矛盾を見つけ出したのです。
これによって矛盾を確信し、10枚のパワーポイントスライド作成のために理論を展開していくうちに、更に良いアイデアまで導き出されるようになります。
結局、最終的には、
「このようにして矛盾を見いだし、方法論を適用し、発明原理を利用してアイデアを導き出し、問題を解決しました」
と発表することになります。
こうして物語を作り上げて発表するため、隣で見ていた同僚から「ペーパーワークだ」と指摘されるようになるのです。
これが、現場で実際によく見られる光景です。
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