それでは、TRIZ適用プロセスのレベル2をまとめてみます。
TRIZを適用した多くの場合、あたかも「矛盾を抽出して方法論を適用し、アイデアを導き出して問題を解決した」ように見えます。
これは間違っているとは言えませんが、それがすべてではありません。
このような発表だけを見ていたのでは、以下のようなことが起こる可能性が高いです:
「TRIZではやっぱり矛盾が大事だね。
矛盾を先に見つけて解決しなくちゃ。
私も適用してみよう。
あれ、矛盾が見つからない。
物理的矛盾は見えやしないし、技術的矛盾は多過ぎるし。
矛盾を見つけるのは諦めよう。
うちの会社にはTRIZは合わないみたい。」
既に申し上げましたように、実際にTRIZを適用した時の実像は次のようなものです:
「矛盾が見つからないな。
しょうがないから、発明原理でも適用してみよう。
あれ、いいアイデアが出た。
会社で発表しろと言うから、パワーポイントスライドを10枚程度用意しなければならないな。
TRIZで論理を構成しなければならないんだ。
あれ、こういう矛盾が問題の核心だったんだ。
こうすれば、10枚は簡単に書けるな。
そうか、こういう物理的矛盾だから、時間による分離じゃなくて空間による分離からはこういうアイデアも出るんだ。
こういうのを全部導き出して特許の請求項に入れてしまおう。」
こんな感じで実際には作業したのですが、発表会場では結論だけを話し、
「矛盾を抽出し、方法論をこのように活用してアイデアを導き出してからこんな風に適用しました」
と説明するのです。
先ほど申し上げましたように、ペーパーワークは、嘘さえつかなければ、視覚化により人間のミスを防止する重要な技法であり、デ・ボノ博士の水平思考のように、更に良いアイデアを導き出す創造的な作業プロセスです。
私が提案するTRIZ適用プロセスのレベル2は以下のようなものです:
まず、矛盾を見つけることに注力します。
たくさん時間をかけて入念に問題を分析したら容易に見つけることができるかも知れませんが、ほとんどの場合、重要な矛盾を一気に見つけることはできません。
こういう時には諦めずに、まず発明原理と分離の原理を、ブレインストーミングをする感じで適用してみることをお勧めします。
現代人であれば誰しも持っている考えに発明原理や分離の原理を適用してみれば、解決策が少しずつ姿を現し始めます。
このようにして些細な解決策でも導き出されたならば、何故それが解決策になり得るのか考えてみてください。
そうすれば、その時こそどんな矛盾があるのかを確信できるようになります。
このように矛盾を定義してからは、TRIZにより提示される方法論や技法に従って展開し、更に良いアイデアを導き出すことができるようになります。
このやり方は、15年以上に渡って現場でTRIZを適用して大きな成果をあげてきた多数の企業における実態に対する私の経験に基づくものです。
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