TRIZのお話 (アニメの日本語版): TRIZ学校教育プロジェクト:TETRIS
物語原作: Genrich Altshuller
脚本: Gaetano Cascini (イタリア)
動画: Harry Flosser (ドイツ)
日本語訳: 宮西 克也、中川 徹
・編集ノート (中川 徹、2009年10月10日)
日本の学校で、子どもたち、生徒たち、そしてティーンエイジャたちに、TRIZを教えることは、私にとって永年の望みでした。そのような活動の一つが、「子供のためのCIDコース: TRIZに基づく創造的想像力の開発コース(CID): (小学校1~3年生向け) 指導の手引きとワークブック」 であり、ロシア語のテキストを英訳してもらって掲載したものです。この6冊の小冊子からなるシリーズは、原作者はナタリア・V・ルービナ(ロシア,ペトロザボーツク)で 1998-1999年にロシア語で作成し、小学校で実地に教え、その英訳を イリーナ・ドーリナ (東京) が2000-2001年に行い、それを中川 徹 (大阪学院大学) が編集して、2000-2002年にWebページとして掲載しました。掲載は、初回が2001年1月30日、最終回が2002年2月19日でした。この英語テキストは、約10ヶ国の30人ばかりの読者の人々からメールで応答をいただき、それぞれに、これを使って教育してみたい、出版を考えたい、あるいはさらに自国語に翻訳したいなどの抱負や提案が述べられておりました。ただ、残念なことに、それらはその後、具体的に成果を挙げる前に立ち消えてしまいました。私自身も、このテキストの日本語版を作れないでおります。-- しかし今なお、読者のみなさんのご協力を得て、これらのプロジェクトを実現したいという希望を持ち続けております。
昨年の第4回TRIZシンポジウム 2008 で、13才の中学生宮西太一郎君が、技術者のお父さん宮西克也さんと一緒に、オーラル発表をしました。その題名は、『親子で取り組むTRIZ ~夏休み自由研究: 「アメンボ」へのTRIZ活用~』でした。 太一郎君は中学1年生の夏休みにこの課題をやり、TRIZの考え方を使ってアメンボの謎を解くのが楽しいことだと知ったのでした。この発表は、日本のTRIZ関係者たち (そのほとんどが、企業の技術者や管理職、また大学関係者) にとって、非常に勇気づけられるものでした。その後、日本TRIZ協会では、日本の学校教育にTRIZを推進するのをどのようにして始めればよいかを、少し議論しておりました。その鍵になるのは、TRIZに関心を持つ先生たちを見つけることと、実際に学校で教えるトライアルの機会を掴むことでした。
今年の6月になって、私は欧州のTETRISプロジェクトからの案内を受け取りました。プロジェクトのWebサイトを開設し、TRIZのお話のアニメを掲載したというのです。このプロジェクトは、「学校でのTRIZ教育」を目指したもので、欧州委員会の生涯学習プログラム「レオナルドダビンチ」プログラム (2007-2013年) から財政的援助を受けているものです。「TRIZのお話」というアニメの物語は、アルトシュラーの本『そのとき突然発明家が現れた』をベースにして、イタリアのGaetano Cascini が脚本を書いたもので、手描きのアニメ動画はドイツのHarry Flosser が作ったものです。
7月の初めに、私は思いがけないメールをHarry Flosser から受け取りました。「TETRIS のアニメを日本語に翻訳する気はないか?」と尋ねてきたのです。私はすぐに宮西克也さんにメールして、この翻訳をお願いしました。このようにして、日本語版翻訳プロジェクトは迅速に立ち上がりました。日本TRIZ協会理事長の林利弘さん、そして仙台の石井力重さんが、このプロジェクトを積極的にバックアップして下さいました。7月下旬に宮西さんの初稿ができたのですが、くだけた口語の日本語になっていて、アニメの図の雰囲気とよくマッチしたものでした。中川がそれを少し推敲して、TETRISプロジェクトに送りました。Harry Flosser が、日本語テキストを彼のアニメのファイルにインストールして、一般にアクセス可能な形でTETRISのサイトに公開掲載してくれました。その完成は、われわれの第5回TRIZシンポジウムの開催直前でした。
「TRIZのお話」のアニメの日本語版は、現在、TETRIS プロジェクトのWebサイトで公開されており、だれでもアクセス可能です。(http://www.tetris-project.org/). TETRIS プロジェクトのサイトに行き、(無料登録してから) トップページ中のホットスボットから「TRIZアニメ」を選択し、さらに日本語のバナー (日の丸マーク) を選択します。
スライドのPDF版を作り、「漫画」のような形式にすると、サイズも小さくなり、読むのも楽になるだろうと考えています。
・TETRIS プロジェクト: 学校でのTRIZ教育
TETRIS (TEaching TRIz at School) (テトリス) プロジェクトは、EU委員会の生涯学習プログラム「レオナルドダビンチ」(2007-2013) からの予算援助で行われているプロジェクトです。
TETRISプロジェクトについては、ETRIA (欧州TRIZ協会) の国際会議 TFC2008 (2008年11月、オランダ、エンスヘーデ) において、つぎの発表により報告されています。
「TETRIS: 学校でのTRIZ教育: 一様でないカリキュラムにおける教育要求に対応する」
G. Cascini (University of Florence, イタリア), J. Jantschgi (Carinthian University of Applied Sciences, オーストリア), I. Kaikov (European Institute for Energy Research, ドイツ), N. Khomenko (University of Florence, イタリア), I. Murashkovska, A. Sokol (Jelgava Regional Adult Education Centre, ラトビア), F. Tomasi (AREA Science Park, イタリア).
概要: 創造性の強化、および問題設定と問題解決のスキルというのは、欧州諸国の中等教育の大部分の学校で欠如しているテーマである。さらに、実際のTRIZのコース、セミナー、および教材は、大抵が企業あるいは工科系の大学向けに作られている。このため、それらは、一般の中等教育の学校の生徒たちや先生たちをはじめ、人文科学の分野に興味を持つ人々など、多数で多様な潜在的な読者や学習者たちの要求に対応することに失敗している。TETRISプロジェクトは、欧州共同体がその生涯学習プログラムを通じて財政援助をしているものである。その対象は、14才以上の年令のすべての学習者であり、どのような種類のカリキュラムに従っている人にも適したような、TRIZの教材を制作し、テストすることである。本発表は、このプロジェクトの目標と構造を提示するものである。特に、教育の要件を特定して記述すること、および、教材に盛りこむ知識体系を構築する際にとったアプローチについて、注意を払っている。
中川はその「学会参加報告: ETRIA TFC 2008」で、この論文を紹介・レビューして、本『TRIZホームページ』 に掲載しています (英文詳細 、和文概要) (2009. 3. 2)。
・TETRISプロジェクトの アニメ「TRIZのお話」
TETRISプロジェクトのWebサイトに入り、そのトップページの「TRIZ animations」のボタンをクリックすると、図が現れます。
この図の右下に並んでいる国旗で分かるように、このアニメの中のテキストは現在7ヶ国語で利用できます。すなわち、英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、ラトビア語、ルーマニア語、そして、日本語です。好きな言語を選び、5つの動画を表すスライドのどれかにポインタを持っていくと、その動画のタイトルが表示されます。
アニメは、手描きの動画の形式で、なかなか魅力的です。
5つのアニメは、(1) TRIZの成立、(2) ニーナちゃんが学校で、(3) ニーナちゃんが大学で、(4) ニーナが仕事で、そして (5) 進化の話、です。
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