2011年9月16日金曜日

PTCモデリング [02/19] Classical TRIZの概要 ②

 今回は3枚目の「スライド2」です:


 前のスライドでは、TRIZ方法論が他の方法論とどのように違うのか、その差別性と導入の必要性について説明しました。
このスライドでは、TRIZにおける最も核心的な原理について簡単にまとめてみましょう。

 ゲンリッヒ・アルトシュラーは、

創造的な発明の最大の共通点が「矛盾の克服」である

としています。
彼は、
創造と革新に至るためには矛盾を克服すべきである

と主張しており、矛盾を克服する具体的な方法として40の発明原理と「分離の原理」を提示しています。
 矛盾には技術的矛盾と物理的矛盾があり、前者の場合には40の発明原理と矛盾マトリックスを利用することができます。
例えば、飛行機において、エンジンのパワーを上げるとエンジンの燃料効率が下がってしまい、エンジンの燃料効率を上げるとエンジンのパワーが落ちてしまいます。
このような関係を技術的矛盾と言います。
 物理的矛盾である場合には、「分離の原理」を用いて解決することができます。
飛行機の車輪は、離着陸するためには必要ですが、空気抵抗を抑えるためには邪魔です。
要不要の問題であるため、多くの人は物理的に不可能であると考えてしまい、もうそれ以上その問題に対して何かしらの工夫をしてみようとしなくなってしまいます。
しかし、TRIZは、「物理的に不可能」という表現を「物理的に矛盾している」と言い換えて再考してみることを促してくれます。
こと、私達人間は「不可能」という単語が脳裏をかすめた途端、諦めてしまったり無関心になってしまったりしがちですが、このような枠にとらわれた考え方のせいで簡単な解決策さえ思いつかなくなってしまうことがあるのです。
このような考え方の枠を最も積極的に外してくれるものの一つが「分離の原理」です。
物理的矛盾と「分離の原理」の核心は「やればできる」ということばで表現できるでしょう。
「やればできる」というと3、40年前の古い流行語が思い出されてしまいそうですが、これは決して「押しつける」という意味ではありません。
「やればできる」ということばの裏返しは「やってもだめ」であり、「やってもだめ」だと思うようになると、それ以上関心を持つことができず、考えられなくなってしまいます。
実は、「やればできる」の真の意味は「考えよう」ということです。
それでは、どのように考えればよいのか。
この質問に対する具体的な解答を与えてくれるのがTRIZです。
TRIZは積極的な性格の持ち主に特に合った方法論と言えます。

 このように問題を矛盾として分析し、「不可能だ、やってもだめ」ではなく、「矛盾している、やればできる」という信念のもと、技術的に不可能であれば技術的矛盾としてとらえて40の発明原理を適用し、物理的に不可能であれば物理的矛盾としてとらえて「分離の原理」を適用して問題を解決しようというのがTRIZの最も基本的なアプローチです。
 上記の基本原理が実際の問題解決過程で頻繁に適用されているのは、これらが世の中の何百万件もの特許を分析した結果得られた人間の英知のエッセンスであると言えるからです。

0 件のコメント:

コメントを投稿