2013年1月31日木曜日

スキージャンプの距離測定


●標準解法4.4.1. 磁性体を含む測定可能な磁性物質-場モデルへの移行
 非磁性場における物質-場モデルの測定は、磁性体と磁場を用いることにより改善することができる
プロダクトのパラメーター測定は、磁性体と磁場を用いることにより改善可能

 スキージャンプの距離測定
 スキージャンプの飛行距離は、着地点を確認することによって測定するが、目視による確認では多大な労力を要し、多数の審判を必要としてしまう
必ずしも正確には行えない
着地点の目視確認によるスキージャンプの飛行距離測定に対する物質-場モデル

 片方のスキー板に小型の磁石を取り付け、ジャンプ斜面に沿って誘導ループを敷設します。スキージャンプ選手の着地時、磁石の通過に伴って各誘導ループの磁界が変化するので、誘導信号から着地点(飛行距離)とスピードが分かります
スキー板上の小型磁石とジャンプ斜面に沿って敷設した誘導ループによる
正確な着地点測定


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2013年1月30日水曜日

重さの測定


●標準解法4.3.2. システムまたはその構成要素の測定可能な共鳴振動
 システム内変化の直接測定もシステム内への場の導入もできない場合には、システム全体またはその一部に共鳴振動を与えることにより問題を解決できる
... 共鳴振動数を変えることによりシステム内変化が明らかになる
システムのプロダクトあるいは構成要素の共鳴振動数を変えることによって
システムのパラメーターの検出や測定が可能

 重さの測定
 容器内の液体または自由流動性バルクの重さを測定したいが、従来の方法では複雑で高価
従来の技術を用いた複雑で高価な容器内液体重量測定に対する物質-場モデル

 容器と物質の全体系の固有振動数を測定します。振動により、流動物質の入った容器に機械的共鳴が発生し、システム(容器-物質)の共鳴振動数から物質の重さが分かります
液体を収容する容器の共鳴振動数を利用した液体の重さ測定


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2013年1月29日火曜日

自然発火の検知


●標準解法4.2.3. 導入添加物を含む測定可能環境
 検出や測定がしにくく、検出容易な添加物を内部に取り込めない場合には、添加物を周囲に加え、その変化を通してプロダクトの状態を判別することができる
プロダクトの周囲に検出容易な添加物を加えると
プロダクトのパラメーター測定や検出がしやすくなる

 自然発火の検知
 石炭層内での自然発火を早期に検知したいが、従来の監視装置では複雑で高価
従来技術を用いた複雑で高価な自然発火検知に対する物質-場モデル

 臭気を発する物質を用いて石炭の自然発火を検知します。臭気を発する揮発性物質が入ったアンプルを石炭層の適所に埋め込んでおけば、石炭が発火した場合にはその付近のアンプルが熱で溶け、検出容易な臭気が発生して空気中に広がります。この特異臭により、石炭の自然発火とその発生箇所が明らかになります
臭気を発する揮発性物質の入ったアンプルS4)を石炭層に埋め込んでおけば
自然発火により生じる熱でアンプルが溶けて
鼻などの簡単な監視装置(S3)で自然発火を容易に検知可能


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2013年1月28日月曜日

アーチェリーの標的


●標準解法2.4.2. 強磁性粒子を含む強磁性物質-場モデルへの移行
 強磁性粒子を持ち込むかあるいは物質の一つを強磁性粒子に置き換えて磁場をかけることにより、物質-場モデルの制御性を高める
物質-場モデルの制御性は、強磁性粒子と磁場を用いて高められる

 アーチェリーの的
 アーチェリーの木製標的は矢が刺さることにより傷められやすいために寿命が短いので、もっと丈夫な標的が欲しい
傷めるという有害作用を緩和あるいは排除する必要のある
矢によってすぐに損傷してしまう木製標的に対する物質-場モデル

 強磁性粒子と電磁場を用いて自動的に修復する標的を考えてみましょう
木製標的を強磁性物質S3と電磁場F2 で置き換えた解決案を示す
移行後の強磁性物質-場モデル(右図)


 出典: TRIZ Technology for Innovation ( http://www.trizsolution.com )

2013年1月27日日曜日

コーティング品質


●標準解法2.3.3. 相いれない作用の時間による分配
 二つの作用(例えば、変更と測定)が相いれない場合には
片方の作用を行う合間にもう一方の作用を行うことができる
相いれない二つの作用(左図)は
それぞれの動作の合間に行うことができる(右図)


 コーティング品質
 部品をコーティングする際、磁石で粉末を固定したところにパルス電流を印加して溶かすが、粉末を固定する磁場を電流が弱めてしまうため、形成される被膜の硬度と均質性が低くなってしまう
パルス電流の印加による粉末融解で形成するコーティングの物質-場モデル ― 融解中に粉末を沈着域内に固定する磁場を強める必要がある

 電流の各パルスと互い違いに発生するようにパルス磁界を印加すれば、処理面が融解粉末で均一に塗膜され、被膜硬度も上昇します
低品質のコーティングに対する物質-場モデル(左図)から
電流パルスと互い違いになるように磁場をパルス状に印加するという解決案に対する物質-場モデル(右図)への移行


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2013年1月26日土曜日

タービン用の場


●標準解法1.1.1. 物質-場モデルの構築
プロダクトに対して変更を加えるのは難しいけれども新たな物質や場を導入することに関して何ら制約が無い場合には、不足する要素を導入して物質-場モデルを完成させることによって問題を解決できる
不完全な物質-場モデルから完全な物質-場モデルへの移行


例 タービン用の場
 デンマークの技術者が3枚翼の優れたタービンを設計しましたが、翼を動かすのに適した場を見つけることが課題でした。翼の役割は、電気を生み出す発電機に繋がっている軸を回すことで
不足している場を追加する必要のある不完全なシステム(左図)と
の物質-場モデル(右図)

 翼を回すために利用できる場として風力エネルギーが選ばれました
不完全な物質-場モデルから
翼を回す場として風を選んだ解決案に対する物質-場モデルへの移行


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2013年1月25日金曜日

複合材料原理


発明原理40 ‐ 複合材料
  • 均一材料を複合材料に置き換える

: ガリウムヒ素(GaAs)素子用の多層金属シリコンゲート

問題: 高融点金属シリサイドは電界効果トランジスタ、ゲート電極、配線などとして利用されるが、ガリウムヒ素GaAsとの密着性が低い

発明原理の適用: 均質なシリサイドのかわりにシリコンと金属の超薄膜(厚さ10ナノメートル未満)を交互に積層した複合材料を用います。ガリウムヒ素(GaAs)にはシリコン層が接するようにして密着性を高くします。このような複合材料は、均質なシリサイドと同じ電気特性を持ちます
シリコンのほうがシリサイドよりもガリウムヒ素(GaAs)との密着性が高い


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2013年1月24日木曜日

不活性雰囲気利用原理


●発明原理39 ‐ 不活性雰囲気利用
通常環境を不活性環境に置き換える
中性部品や不活性添加物を物体に加える

: フィルターの清掃

問題: 金属生産では、高炉ガスから一酸化炭素(CO)ガスを抽出して水加熱や圧延用のバーナーに使用する。バーナーへ送り込む前に抽出ガスをフィルターバッグに通して粉塵を取り除くが、フィルターは粉塵で詰まってしまう。この粉塵は圧搾空気を用いてフィルターバッグから除去するが、その過程で一酸化炭素(CO)と空気の爆発性混合物が生成されかねない。

発明原理の適用: 圧搾空気を窒素などの不活性ガスに換えます。窒素であれば、粉塵除去のためにフィルターバッグを通しても爆発性混合物が生じることがないので、より安全なプロセスになります
フィルターバッグの清掃に窒素を用いれば
一酸化炭素(CO)と混ざって爆発性混合物を生じることは無い


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2013年1月23日水曜日

高濃度酸素利用原理


●発明原理38 ‐ 高濃度酸素利用
通常の空気を酸素富化空気に置き換える
酸素富化空気を純酸素に置き換える
空気や酸素を電離放射線にさらす
オゾン化酸素を利用する
電離した酸素やオゾン化酸素をオゾンに置き換える

: 酸化雰囲気の中での溶接

問題: 溶接部のみに付けたい金属液滴が周りにも付いてしまう

発明原理の適用: 酸化剤として酸素または窒素を用いて溶接品質を上げます。溶接の周りを酸素または窒素を用いて酸化雰囲気にすると、白熱した飛散液滴が酸化膜または窒化膜で覆われて溶接部の周りには付着しません
強酸化剤により金属液滴が酸化膜で覆われて
溶接部周りへの金属液滴の付着を防止


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2013年1月22日火曜日

熱膨張原理


●発明原理37 ‐ 熱膨張
物質の熱膨張(または熱収縮)を利用する
熱膨張をすでに利用している場合には、熱膨張係数の異なる複数の物質を使用する

: 熱量計

問題: 化学反応で放散される熱量を測定する熱量計の精度が不充分

発明原理の適用: 反応物質を保持するバイメタル板は、化学反応で放散された熱エネルギーに応じて屈曲するので、制御システムによりこの屈曲量から放熱量を測定します
制御システムにより化学反応時の屈曲量から放熱量を測定


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2013年1月21日月曜日

相変化原理


●発明原理36 ‐ 相変化
  • 相変化の際に生じる現象(体積変化、吸放熱など)を利用する
: 冷凍液による冷却

問題: 穴を開ける箇所に冷却作用のある潤滑剤を注ぐドリル冷却方法の改善

発明原理の適用: ドリル先端空洞形状にし、凍らせた潤滑冷却剤で穴を開ける前にそこを満たしておけば、凍った冷却剤が溶ける際の相変化によって更に吸熱するので、冷却効率を高めることができます
凍った潤滑冷却剤が溶ける際の相変化現象を利用して
穴を開ける箇所の熱を更に吸収


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2013年1月20日日曜日

パラメーター変更原理


●発明原理35 ‐ パラメータ変更
物体の物理的状態(例えば、気体、液体、固体)を変える
濃度や堅さを変える
柔軟度を変える
温度を変える

: 金属皮膜溝

問題: 従来の真空蒸着を用いて溝を金属皮膜すると、内に空洞が形成されるなどの不良が生じかねない

発明原理の適用: 溶解性金属を含む溶媒で溝を満たしてから金属成分が熱分解する温度まで加熱して溶媒を蒸発させます
溶媒に溶けた金属を用いて溝を金属膜で覆う


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2013年1月19日土曜日

排除・再生原理


●発明原理34 ‐ 排除・再生
●目的を果たし終えた部分を(溶かしたり気化させたりして)無くしたり、動作中にその部分を変えたりする
動作中に消耗品を補充・交換する

: 昇華する穴型

問題: 入り組んだ形状の穴を原綿の山に通す必要がある

発明原理の適用: ドライアイスキューブを穴の形状通りに並べ、原綿で覆って山にしてから穴型の両端を空気にさらすとドライアイスが昇華して穴が形成されます
ドライアイスで穴を形成(右図)


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2013年1月18日金曜日

均質性原理


●発明原理33 ‐ 均質性
  • 相互作用する物体に同じ(特性の)材質を使う

: 同一材質でできたスぺーサ

問題: リードフレームに取り付けたICチップが正常に動作して熱くなると、チップ材料とフレーム材料の熱膨張率の差によって熱誘起ひずみが生じてしまう

発明原理の適用: チップ材料と同じ材質でできたスペーサをICチップとリードフレームの間に入れることにより熱誘起ひずみを最小限に抑えます
チップ材料と同じ材質のスペーサをICチップとリードフレームの間に入れて
ICチップ内の熱誘起ひずみを最小限に抑制


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2013年1月17日木曜日

変色利用原理


●発明原理32 ‐ 変色利用
物体や外部環境の色を変える
物体や外部環境の透明度を変える

: 透明な電磁波遮蔽体

問題: 光学素子を電磁波から保護する必要があるが、通常の金属スクリーンを用いたのでは光も遮られてしまう

発明原理の適用: 光は透す(けれども電磁波は遮る)物質で保護します。インコネル合金(Ni-Cr-Fe-Mn-Si-Cu)であれば、伝導体なので電磁波を遮りますが、透明なので高周波光を透します。この合金の薄層を覆ったガラスに金属スクリーンを置き変えれば、光学素子に到達します
インコネル合金が電磁波を遮るが、高周波光は透す


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2013年1月16日水曜日

多孔質利用原理


●発明原理31 ‐ 多孔質利用
物体を多孔質にしたり多孔質要素(挿入物、コーティングなど)を加えたりする
物体がすでに多孔質である場合には、孔を活用して有益な物質や機能を取り込む

: 液体シール型半導体素子

問題: 緩衝液が周りから熱せられて膨張し、パッケージから漏れ出てしまう

発明原理の適用
: パッケージの内壁にスポンジを取り付けておくことにより、緩衝液の膨張を吸収してパッケージの内圧が上がらないようにします
パッケージの内壁に取り付けたスポンジにより、膨張する湿潤液体を吸収


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2013年1月15日火曜日

薄膜利用原理


●発明原理30 ‐ 薄膜利用
3次元構造のかわりに弾性殻や薄膜を使用する
弾性殻や薄膜を用いて物体を外部環境から隔離する

: ばら荷が動かないように圧縮

問題: 運搬中の船が揺れるとばら荷が動き、船が不安定になったり粉末中に静電気が生じて爆発したりしかねない


発明原理の適用: ばら荷に気密シートをかぶせて真空密封すれば、大気圧の力で押しつけられるので、海が荒れてもばら荷が動くことはありません
気密シートで真空密封し、ばら荷の動きを防止


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