2010年2月28日日曜日

問題解決における物質-場モデルと標準解法の役割

 物質-場のモデル化は技術システムの動作を特徴づける要素や作用を表現するための手法です。したがって、物質-場モデルは技術システムを分析し、欠落している作用、不充分な作用、望まれない作用、非効率などの観点から問題を表現するための手段です。

 標準解法は技術的問題の解決を目的とした、物質-場モデルの合成と変更のための処方システムです。
 物質-場モデルとして表現された問題に対しては、技術システムの効率を向上させたり望まれない作用を阻止したりすることのできる物質-場モデルへの変更を提案する標準解法のシステムを用いて対処することができます。

 TRIZ問題解決プロセスの "丘" モデルおよび物質-場モデルと標準解法の役割

 標準解法の適用による問題解決プロセスは以下のステップを踏みます(上図を参照):

  1. 解決すべき問題を一般用語で記述します(専門用語だと心理的惰性を誘導してしまいます) ― 創出されるアイデアに対する評価/選択の基準を決めます

  2. 問題状況に対応する物質-場モデルを構築します(抽象化のプロセス)

  3. 問題状況に対して対処するのに最適な標準解法物質-場モデルの特性にしたがって選択します。そして、概念解の物質-場モデルを特定します

  4. 問題の生じている特定の状況において利用可能な物質-場のリソースを用いてステップ3の概念解を実現し、ステップ1で記述した問題に対する現実的な解決策を創出します

Copyright notes

This book has been developed in the frame of the TETRIS project funded by the European Commission—Leonardo da Vinci Programme.
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2010年2月27日土曜日

標準解法の整理

 今まで様々な標準解法を一通り見てきましたので、どのようなものがあるのか整理してみたいと思います:

クラス1 作用の改善および有害作用の除去

 1-1 物質-場の合成と改良

  1-1-1 物質-場システムの合成
  1-1-2 物質内へ添加物を入れることによる作用の向上
  1-1-3 システム内へ添加物を入れることによる作用の向上
  1-1-4 環境の利用による作用の向上
  1-1-5 環境の変更による作用の向上
  1-1-6 作用の最小効果の供給
  1-1-7 作用の最大効果の供給
  1-1-8 選択的効果の供給
   1-1-8-1 最大場と保護物質による選択的効果
   1-1-8-2 最小場と活性物質による選択的効果

 1-2 有害作用の除去

  1-2-1 外来物質による有害作用の除去
  1-2-2 既存物質の改良による有害作用の除去
  1-2-3 場による有害作用の除去
  1-2-4 新たな場による有害作用の除去

クラス2 システムの進化 

 2-1 複合物質-場への遷移 

  2-1-1 連鎖物質-場システムの合成
  2-1-2 二重物質-場システムの合成

 2-2 利用可能なリソースの活用 

  2-2-2 物質の分割度の増大
  2-2-3 固体物質の多孔質物質への置き換え
  2-2-4 システムの柔軟性の向上
   2-2-4' (柔軟な)システムの柔軟性の向上

 2-3 リズムの調和

 2-4 複合強制された物質-場

クラス3 マクロやミクロのレベルへの遷移
 
 3-1 二重や多重のシステム

  3-1-1 二重や多重のシステムの形成
  3-1-2 二重や多重のシステムにおけうリンクの形成
  3-1-3 システム構成要素間の差異の増大
  3-1-4 いくつかの要素のひとつの要素への統合
  3-1-5 システム全体とその要素による対立特性の分担

 3-2 ミクロレベルへの遷移

  3-2-1 ミクロのレベルへの遷移

クラス4 検出と測定の問題

 4-1 迂回策

 4-2 計測システムの合成と改良

 4-3~4-5 計測システムのさらなる改良

クラス5 メタ解決策、ヘルパー

 5-1 物質の導入

  5-1-1-1 制約条件下におけるシステムへの物質の導入
 
 5-2 場の導入

 5-3 相転移の利用

 5-4 物理的効果の利用

 5-5 化学的効果の利用


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2010年2月26日金曜日

トレーラー

 今回はクラス3「マクロやミクロのレベルへの遷移」に属する標準解法3-1-1の(再)紹介です:

・標準解法3-1-1 「二重や多重のシステムの形成」

 あらゆる進化段階におけるシステム効率は、そのシステムを他のシステムと組み合わせて二重や多重のシステムを形成することにより改善することができます。

 単純な二重や多重のシステムの形成では二つ以上の要素が組み合わされます。物質、場、物質-場の組み、物質-場システム全体のいずれをも組み合わせることができます。

●例「トレーラー」

 自転車で荷物を運ぶにはトレーラーが便利です(下図)。
でも、自動車で重たい荷物を運ぶのにこの車軸では心もとないですね。

 重たい荷物を運ぶのにはどうすればよいでしょうか?









http://www.eurobike.net/eurobikeweb/gallery/christianiabikes_catalogue.html

・解決策:

 システムの効率を向上させるために二重のシステムを作ってしまいましょう。
この場合、車軸を二つにすれば耐荷重を増やせそうです(下図)。










 「もっと重たい荷物を運びたい場合にはどうするの?」ですか...

 必要なだけ車軸を増やして多重システムにしてしまいましょう(下図)。
















  故障時に備えて控えのトラクターが御供している点ではトラクターの二重システムになっていいると言えます。


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2010年2月25日木曜日

鎖かたびら

 今回は、前々回のクラス2「システムの進化」に属する標準解法2-2-4の発展形をさらに別の例で見てみましょう。前々回の例はすでに柔軟なシャッターを更に柔軟にするという内容でしたが、今回は「システム全体とその要素による対立特性の分担」で取り上げた鎖かたびらを更に柔軟にしてみましょう。

・標準解法2-2-4' 「(柔軟な)システムの柔軟性の向上」

 (柔軟な)物質-場システムの可動性を向上(すなわち、自由度を増大)させて、より柔軟で素早く変化するシステムへ遷移させることにより、(柔軟な)物質-場システムの効率を改善することができます。
標準解法2-2-4' (柔軟な)システムの柔軟性の向上

●例「鎖かたびら」

 中世の騎士は刃物から身を守るために鎖かたびらを着けたりしていました(下図)。でも最近、この類のものは手に入りにくくなってきましたし、体の自由な動きを妨げているので日常生活には不向きですね。

 着心地が良くて動きの妨げにならず、自由に行動できるようにするにはどうすればよいでしょうか?









鎖かたびら


・解決策:

 この状況の物質-場モデルは、下図上部のように、人(S1)、鎖かたびら(S2)およびこれらの間に作用する機械的場として表わすことができます。鎖かたびらを用いて、機械的場により刃物が人に直接当たらないようにしています。標準解法2-2-4' を適用して、鎖かたびらの柔軟性を向上させることになります。
 でも、どうすれば柔軟性を向上させることができるでしょうか?

 素材をもう少し柔軟なものに変えると良さそうですね(下図下部)。
鎖かたびら(S2)に標準解法2-2-4' を適用した例

 同重量のピアノ線と比べて8倍に相当する強度を持つ超高強力ポリエチレン繊維を生地に使った防刃シャツならば、柔らかくて着心地もだいぶ良さそうです(下図)。









防刃シャツ


 比重が0.94なので軽そうですし、洗濯できるので衛生的観点からも優れていますね。


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2010年2月24日水曜日

ブラインド

 今回は久しぶりにクラス3「マクロやミクロのレベルへの遷移」に属する標準解法の(再)紹介です:

・標準解法3-2-1 「ミクロのレベルへの遷移」

 進化のどの段階にあるシステムの効率もマクロレベルからミクロレベルへ遷移することにより改善できます: システムまたはその一部をある物質に置き換え、この物質をある場と作用させることにより必要な機能を提供します。

 物質には結晶格子、分子、イオン、原子、基本粒子、場など多数のミクロレベルの状態があるので、問題解決に際しては、様々なミクロレベルへの遷移はもちろんのこと、あるミクロレベルからもっとミクロなレベルへの遷移も選択肢に入れて考えましょう。

●例「ブラインド」

 ブラインドを使って、窓を開閉することなく、羽根板の角度を調整して部屋の中に差し込む光を部分的にさえぎることができます(下図)。でも、これにともなって外の景色が部分的に見えなくなってしまうのはとちょっと寂しいですね。

 眺めをさえぎられることなく部屋の中に差し込む光を調整するにはどうすればよいでしょうか?











ブラインド

・解決策:

 個々の羽根板によって隠される部分が大きいために一部見えなくなってしまうので、個々に隠される部分を小さくして眺めがさえぎられないようにしてしまいましょう。羽根板は光をさえぎるという機能をマクロレベルで提供しているので、この機能をミクロレベルで提供する物質を探せばよいわけです。電圧をかけると変色してくれる物質があるので、これを使うことにしましょう。活性ポリマー層としてガラスの間に挟み込んで窓と一体化すればすっきりしますね(下図)。

 お掃除が楽なのもうれしいですね。


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2010年2月23日火曜日

可動式シャッター

 今回は、前々回のクラス2「システムの進化」に属する標準解法2-2-4の発展形を別の例で見てみましょう。前々回の例はすでに柔軟な傘を更に柔軟にするという内容でしたが、今回は「システムの柔軟性の向上」で最初に取り上げたシャッターを更に柔軟にしてみましょう。

・標準解法2-2-4' 「(柔軟な)システムの柔軟性の向上」

 (柔軟な)物質-場システムの可動性を向上(すなわち、自由度を増大)させて、より柔軟で素早く変化するシステムへ遷移させることにより、(柔軟な)物質-場システムの効率を改善することができます。
標準解法2-2-4' (柔軟な)システムの柔軟性の向上

●例「可動式シャッター」

 日差しの強さや太陽の高さに応じて羽根板の角度を調整できる可動式シャッターを使って部屋の中に差し込む光をちょうど良い強さに保つことができます(下図)。でも、左右それぞれの羽根板の角度を調整したり、シャッターを全開閉する前後で窓を開け閉めしたりするのは面倒です。

 部屋の中に差し込む光の調整やシャッターの全開閉をできるだけ楽に行うにはどうすればよいでしょうか?











可動式シャッター

・解決策:

 この状況の物質-場モデルは、下図上部のように、太陽光(S1)、可動式シャッター(S2)およびこれらの間に作用する電磁的場として表わすことができます。シャッターを用いて、電磁的場により太陽光が部屋の中に差し込まないようにします。標準解法2-2-4' を適用して、シャッターの柔軟性を向上させたいところです。
 でも、どうすれば柔軟性を向上させることができるでしょうか?

 羽根板の角度だけでなく間隔も変えられるようにすると良さそうですね(下図下部)。
シャッター(S2)に標準解法2-2-4' を適用した例

 (柔軟な)システムの効率を改善するためには自由度を加えます。羽根板を等間隔で枠に固定するかわりに紐でつなぎ合わせば、下端を上下させるだけで、調整する窓の範囲を変えることができます(下図)。











ベネチアンブラインド

 ブラインドを窓の内側につければ、操作時に窓を開閉しなくても済みますね。


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2010年2月22日月曜日

TRIZ協会だより Vol.5

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 ●○● TRIZ協会だより Vol.5 ●○●
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2010年2月22日発行━━━

【目次】______________________________
|1|第6回日本TRIZシンポジウムの進捗
|2|基調講演者の紹介
|3|新しい企画とお伺い事項
|4|ホームページ更新情報
|5|協会からのお知らせ
|6|おわりに

皆様、こんにちは。
2010年も明け早くも2月を終えようかといったところ、
事業年度末を迎える企業も多く、多忙な毎日をお過ごしのことと
思います。まだまだ、寒さも和らぎませんので体調を崩したりしないよう
お気をつけ下さいませ。
2010年度最初のTRIZ協会だよりは、第6回TRIZシンポジウム開催にむけ
発表者の公募も始まったことをお知らせし、最新情報を織り交ぜながら
お送りしたいと思います。
                              日本TRIZ協会 広報委員会 
 
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●   1.第6回日本TRIZシンポジウムの進捗
○● 
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2010年9月9日(木)~9月11日(土) 3日間開催の日程で計画している
第6回日本TRIZシンポジウムは、2/22(月)いよいよ発表者の公募を始めました。
TRIZ協会ホームページ上で案内を開始いたしましたので奮ってご応募ください。
また、プログラム内容も今まで以上に出席者の満足度が得られますよう
運営委員会で趣向を凝らしている最中でございます。
TRIZの活用用途別のプログラム編成?TRIZ習得レベルに応じたプログラム編成?
などなど本年度は日本TRIZ協会としましてもチャレンジの年にしたいと思っています。
乞うご期待!

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●   2.基調講演者の紹介
○●    
------------------------------------------------------------------
第6回日本TRIZシンポジウムにおける基調講演者が決定しましたので
各人の紹介をさせていただきます。

(1) Nikolai Khomenko (ニコライ・ホーメンコ) 氏  (カナダ)
  TRIZマスター。
  現在、カナダ在住で、欧州を中心に世界各地でOTSM-TRIZコンサルタントして活躍。
  ベラルーシの出身、電気工学を学び、1980年にアルトシュラーの1ヶ月TRIZセミナー
  に参加。その後、1985年からアルトシュラーの指導のもとにOTSM
  (「強い思考の一般理論」) を研究しています。
  同氏はまた永年、子どものためのTRIZベースの創造性教育のプロジェクト
  (「ジョナサン・リビングストン プロジェクト」) を指導しており、沢山の教育者を要請し、
  アニメ教材なども作っています。この面でも世界のリーダです。

テーマ: 「OTSMの全体像」 (仮題) 
OTSMは、アルトシュラーが1975年に
クラシカルTRIZをさらに一般化・汎用化することを目指して研究を開始したものだ
といい、1985年以降Khomenko氏が継承・発展させているものです。クラシカルTRIZ
を全面的に改良することを指向し、技術分野に限らず、社会やビジネスを含めた
広範な分野で、大規模で複雑な問題をも扱えるように発展させてきています。
今回の基調講演では、OTSMの全体像、特にその基本的な考え方と大規模問題
への応用のしかたについて、話していただくことにしました。

(2) Mahmoud Karimi (マーモウド・カリミ) 氏  (イラン)
  イラン革新・技術研究所の副所長。
   (Iranian Institute of Innovation & Technological Studies (IIITS))
  ETRIAのイラン委員。
  Google検索で、「TRIZ」のキーワードでの検索が世界中で一番多い国が
  実はイランだといいます。イランでは、TRIZの社会的認知が非常に進んでおり、
  それを引っ張ってきた一人が、この若いリーダ Karimi氏です。

テーマ: 「イランにおけるTRIZの社会普及活動」 (仮題) 
イランでのTRIZの導入は、1998年に大学のQFD研究グループが着目したことから
始まったといいます。2001年にIIITS研究所が非営利の民間研究所として設立
されました。世界のTRIZ指導者を招いてセミナーを行い、徐々にその考え方と
問題解決技法を習得していきます。2007年にはPSST (問題解決の戦略と技法)
国際会議を開き、1000人近くが参加したとのことです。テレビやラジオなどの
マスメディアを活用していることが特徴で、テレビ教材を作るとともに、イラン国営の
教育テレビの朝・夕の30分の番組で何回かTRIZをテーマに放送しています。
今回の基調講演では、イランでどのようにしてTRIZの社会的認知度を高めて
いったのか、について話していただくことにしました。Karimi氏は、いろいろな映像を
使って、ドキュメンタリのような形で発表したいと意欲的に考えてくれています。

------------------------------------------------------------------
●   3.新しい企画とお伺い事項
○● 
------------------------------------------------------------------
上述基調講演者のお二人ですが、来日いただく貴重な機会でありますので、
シンポジウム開催予定日の前後、具体的には2010年9月8日(水)または9月13日(月)
あたりでセミナー等何らかの企画を行いたいと考えています。

(a) 「学校における (TRIZベースの) 創造性教育」セミナー:
Nikolai Khomenko氏、Mahmoud Karimi氏、他を招いて。
学校 (小学校~大学) 教育の関係者 (まだTRIZをよく知らない人たちも)
   を多く招いて、TRIZベースの創造性教育を紹介、議論する。

(b)「OTSM をより深く知る」セミナー:
   Nikolai Khomenko 氏を講師に、TRIZ経験者向け。

素案としては以上の二つが上がっております。
それぞれ、シンポジウムとは切り離した企画として、TRIZ協会内の有志メンバで
検討していきたいと考えております。

本企画に関しまして、ご意見ご要望をいただけますと幸いです。
出席したい・・・是非開催すべきだ・・・このような内容では出来ないか・・・
などなど このアドレス info@triz-japan.org に意見をお寄せくださいませ。

------------------------------------------------------------------
●   4.ホームページ更新情報
○● 
------------------------------------------------------------------
日本TRIZ協会公式ホームページの更新を随時行っています。
最新情報は以下のようになっております。

・H22/2/22    「第6回TRIZシンポジウム 発表公募」を開始
           TRIZ協会の分科会の”研究会活動”報告と
           研究分科会への参加申込みの案内
・H22/3/10予定 「第5回TRIZシンポジウム 一般発表」のスライドを
           会員ページへ公開予定  

是非ともご覧ください。 → http://www.triz-japan.org/

------------------------------------------------------------------
●   5.協会からのお知らせ
○● 
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日本TRIZ協会では、来年度開催予定の第6回日本TRIZシンポジウムに向けて
発表募集の公募が始まりました。
これからより良いシンポジウムに向け創り上げていくわけですが、
なにぶんにも人手が足りません。
日本TRIZシンポジウムの一層の充実を図るためにも皆様のご協力が
必要になってまいります。

協会HPや本メルマガにて「協力の募集」をかけて参りますので、何卒ご一考頂き、
積極的な参加をいただけましたら幸いです。

また、協会HPの追加情報作成や更新に人手が足りません。
より早い情報提供を心がけたいのですが、作業がおぼつかない状況です。
我こそはと思われる方がいらっしゃいましたら奮ってご参加くださいませ。

こちらへご一報いただけますとありがたく → info@triz-japan.org

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●   6.おわりに
○● 
------------------------------------------------------------------
”TRIZ協会だより”第5号をお読みいただき、誠にありがとうございました。
今後も、会員の皆様にとって有意義な情報が提供できますよう
知恵を絞って進めてまいります。

「こんな情報がほしい」
「協会の活動のここが知りたい」 などなど
皆様からのご意見をいただけますと大変ありがたく思います。
会員皆様との交流の場として、このメールマガシンが発展していくことを
願っています。

次回の”TRIZ協会だより”は2010年4月を予定しております。

***********************************************************
●このメールマガジンに関するお問合せ先
info@triz-japan.org
__________________________________________________________________
●発行・編集・送信
 NPO法人 日本TRIZ協会 広報委員会
 http://www.triz-japan.org/
 〒111-0053 東京都台東区浅草橋5-5-7 秋葉原イーストビル4F
 電話:03-5809-2413 FAX:03-5809-2412 
***********************************************************

2010年2月21日日曜日

折りたたみ傘

 今回は、前回のクラス2「システムの進化」に属する標準解法2-2-4を少し発展させてみましょう。前回の例は傘の固定部分を可動化するという内容でしたが、今回はすでに柔軟なものを更に柔軟にしようという方法です:

・標準解法2-2-4' 「(柔軟な)システムの柔軟性の向上」

 (柔軟な)物質-場システムの可動性を向上(すなわち、自由度を増大)させて、より柔軟で素早く変化するシステムへ遷移させることにより、(柔軟な)物質-場システムの効率を改善することができます。
標準解法2-2-4' (柔軟な)システムの柔軟性の向上

●例「折りたたみ傘」

 折りたたみ傘の構造を眺めてみると、入れ子になった内側の中棒に複数の元親骨が結合されていて、これらに先親骨が先だぼで結合されています(下図)。折りたたむと大きめの鞄には納まってくれますが、ハンドバッグやポケットからははみ出してしまいます。

 ハンドバッグやポケットにも納まるようにするにはどうすればよいでしょうか?
 













折りたたみ傘の
構造とパーツ


http://nakaya-kasa.com/cgi-bin/umbrella/site.cgi?u=0.20

・解決策:

 この状況の物質-場モデルは、下図上部のように、人(S1)、折りたたみ傘(S2)およびこれらの間に作用する機械的場として表わすことができます。折りたたみ傘を用いて、機械的場により雨滴が人に当たらないようにしています。標準解法2-2-4' を適用して、折りたたみ傘の柔軟性を向上させることになります。でも、どうすれば柔軟性を向上させることができるでしょうか?
 傘の中棒や親骨を3つに分けると良さそうですね(下図下部)。

折りたたみ傘(S2)に標準解法2-2-4' を適用した例

 (柔軟な)システムの効率を改善するためには自由度を加えます。元親骨と先親骨を短くして受け骨を加え、中棒を大管、中管、小管に分けてそれぞれの骨と管の長さを揃えた3段式の傘にすれば、折りたたんだ時に更に小さくまとまってくれますね(下図)。













3段式
折りたたみ傘の
構造とパーツ




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2010年2月20日土曜日

長傘

 前回に引き続き、今回もクラス2「システムの進化」に属する標準解法の(再)紹介です:

・標準解法2-2-4 「システムの柔軟性の向上」

 物質-場システムの可動性を向上(すなわち、自由度を増大)させて、より柔軟で素早く変化するシステムへ遷移させることにより、物質-場システムの効率を改善することができます。







標準解法2-2-4 システムの柔軟性の向上

●例「長傘」

 傘の構造を眺めてみると、長い中棒に複数の親骨が結合されていて、これらで雨滴を通さない生地をピンと支えています(下図)。傘を開いた時の表面積を広くしたほうが人が濡れにくくはなるのですが、そうすると傘を閉じた時にかさばってしまいます。

 できるだけかさばらないようにするにはどうすればよいでしょうか?
















一般的な傘の
構造とパーツ

http://nakaya-kasa.com/cgi-bin/umbrella/site.cgi?u=0.16

・解決策:

 この状況の物質-場モデルは、左下図のように、人(S1)、傘(S2)およびこれらの間に作用する機械的場として表わすことができます。傘を用いて、機械的場により雨滴が人に当たらないようにしています。標準解法2-2-4を適用して、傘の柔軟性を向上させることになります。でも、どうすれば柔軟性を向上させることができるでしょうか?
 傘の中棒や親骨を動かせるようにすると良さそうですね(右下図)。






傘(S2)に標準解法2-2-4を適用した例

 固定のものを可動化すためには自由度を加えます。固定の親骨を元親骨と先親骨に分け、これらを先だぼ(大だぼ)で結合して可動化すれば、折りたたんだ時に小さくまとまってくれますね。中棒に対しても同様のコンセプトを適用できます(下図)。














折りたたみ傘の構造とパーツ

 中棒には「入れ子原理」を使っています。同じ可動化であっても、場所や構造によって異なる方式が用いられている点など興味深いですね。


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2010年2月19日金曜日

ほぼひと月ぶりにクラス2「システムの進化」に属する標準解法2-1-1の(再)紹介です:

・標準解法2-1-1 「連鎖物質-場システムの合成」

連鎖物質-場システムは、少なくともひとつの物質が二つの異なる場を生成してその影響を受ける複合システムです。

物質-場作用の一部を独立に制御可能な物質-場に変えて連鎖物質-場システムを形成することにより、物質-場システムの効率を改善することができます。



標準解法2-1-1: 連鎖物質-場システムの合成

●例「傘」

雨なので傘をさそうという時、荷物を持っていると開くのに苦労しますよね(下図)。
どうすれば傘を楽に開くことができるでしょうか?




http://www.flickr.com/photos/arag/2663730566/

・解決策:

この状況の物質-場モデルは、左下図のように、傘(S1)、手(S2)およびこれらの間に作用する機械的場として表わすことができます。機械的場を用いて手で傘を開きます。この機能自体は有用なのですが、充分とは言えません。標準解法2-1-1を適用してこの状況を改善するためには、傘または手を新たな独立した物質-場モデルに変えることになります。人間の手を変えるのは難しいでしょうから、傘のほうをに変えることにしましょう。そのために、新たな物質(S3)と傘に働く場を加えてみます。新たな物質の例としては、機械的場を用いて傘を開くバネなどが考えられます(右下図)。



傘(S1)の効率改善に標準解法2-1-1を適用した例

バネの弾性を利用すれば開く構造が実現できますね(下図)。傘を開く時にバネも一緒に上にあがり、閉じる時にはバネが縮みます。このバネが伸びる力で傘を押し広げてくれます。
特開2009-125278(P2009-125278A) より引用

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2010年2月18日木曜日

電気自動車

 前回に引き続き、クラス3「マクロやミクロのレベルへの遷移」に属する標準解法の紹介です:

・標準解法3-2-1 「ミクロのレベルへの遷移」

 進化のどの段階にあるシステムの効率もマクロレベルからミクロレベルへ遷移することにより改善できます: システムまたはその一部をある物質に置き換え、この物質をある場と作用させることにより必要な機能を提供します。
 物質には結晶格子、分子、イオン、原子、基本粒子、場など多数のミクロレベルの状態があるので、問題解決に際しては、様々なミクロレベルへの遷移はもちろんのこと、あるミクロレベルからもっとミクロなレベルへの遷移も選択肢に入れて考えましょう。

●例「電気自動車」

 電気自動車が動くためには畜電池からエネルギーを供給してもらう必要がありますね。電気をモーターに供給していると電池内の蓄えが次第に減ってゆき、いずれ、電気自動車ステーションで充電しなければならなくなります(下図)。でも、電気自動車ステーションが無い地域もあります。
 電気自動車ステーションに頼らないためにはどうすればよいでしょうか?















http://energy.cleartheair.org.hk/2009/11/02/10-electric-cars-vs-electric-cars-in-families/

・解決策:

 電気自動車ステーションを車内に作ってしまいましょう。電気自動車ステーションは電気を供給するという機能をマクロレベルで提供しているので、この機能をミクロレベルで提供する物質を探せばよいわけです。光に当たると発電してくれる物質をアインシュタインが見つけてくれているので、これを使うことにしましょう。太陽電池としてルーフに取り付ければ邪魔にもなりませんね(下図)。


 ボンネットにも取り付けたほうが発電量を増やせそうですね。


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2010年2月17日水曜日

よろい

 前々回に引き続き、クラス3「マクロやミクロのレベルへの遷移」に属する標準解法の紹介です:

・標準解法3-1-5 「システム全体とその要素による対立特性の分担」

 二重や多重のシステムの効率は、対立する特性をシステム全体とそれを構成する要素の間で分担させることにより改善することができます。これは、システムが全体としては「A」というある特性を有する一方、システムの要素(部分)が「反A」という反対の特性を有する二段構造により実現できます。

●例「よろい」

 中世の騎士は剣から身を守るためによろいを着けたりしていました。でも、固くて重たいよろいが邪魔になって思うように身動きできず、戦う上ではえらく不自由な思いをしていたことでしょう(下図)。
 もっと身軽に戦えるためにはどうすればよいでしょうか?











http://www.costumearmour.com/cdshrek.htm

・解決策:

 身動きしやすいように柔らかくて軽いよろいを作ってしまいましょう。この場合、対立する特性は「固い⇔柔らかい」または「重たい⇔軽い」となりますが、要素は重たいけれども全体としては軽いよろいを作るのは難しそうなので、要素は固いけれども全体としては柔らかいよろいにしましょう。鎖かたびらならば、柔軟性に富んでいるけれども、金属製なので剣から身を守ってくれそうです(下図)。









鎖かたびら


 鎖かたびらの場合、要素が軽いのは勿論のこと、全体としても軽くなりそうですね。


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2010年2月16日火曜日

TRIZマスターIsak Buhkmanによる日本での打ち合わせ/講義/トレーニング(第2弾)

 第1回イスラエルTRIZコンファレンスでTRIZ チュートリアルおよびTRIZマスター公開討論会に登壇したIsak Buhkman氏が3月15日~4月13日の台湾におけるプロジェクト終了後、米国へ戻る途中で4月15日~4月20日に来日することになりました。Isakとの打ち合わせまたはIsakによる講義やトレーニングを希望される方はお知らせください。また、直接のやり取りをご希望の方にはメールアドレスをお教えいたします。

 なお、Isakは昨年の6月と12月に台北で国際TRIZ協会認定コースを開催しています(詳細はhttp://www.triz.com.tw/english/ )。このようなコースに参加を希望される方の数が揃うようであれば、日本でも初めて開催できますので、参加ご希望の方はお知らせください。

2010年2月15日月曜日

充電器

 今回もクラス3「マクロやミクロのレベルへの遷移」に属する標準解法の紹介です:

・標準解法3-1-3 「システム構成要素間の差異の増大」

 二重や多重のシステムの効率は、そのシステムを構成する要素の差異を増大させることにより改善することができます。

 次のような進化の道筋がおすすめです:

  類似の構成要素
  バイアスのかかった構成要素
  異なる構成要素
  「構成要素およびそれと反対の機能をもった構成要素」の組み合わせ

●例「充電器」

 携帯電話などに充電池が使われていますよね。これらは充電器を使って充電できます。でも、充電池の種類によっては、完全に放電してから充電しないと、メモリ効果が原因で電池の容量が減っていってしまいます(下図)。

 電池の容量が減らないようにするためにはどうすればよいでしょうか?


















http://club.pep.ne.jp/~nonoyama/Battery.html

・解決策:

 メモリ効果が発生しないように、反対の機能も作り込んでしまいましょう。この場合、放電する機能を同じシステムに統合してしまえばいいですね。充電を開始する前に完全に放電する充電器が考えられます(下図)。













反対機能をあわせ持つシステム: 充放電器

 この充放電器の場合、単三型と単四型の電池の両方に対応しているので、「類似の構成要素」という観点でも進化しているといえますね。


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2010年2月12日金曜日

事務機器

 今回は初めてクラス3「マクロやミクロのレベルへの遷移」に属する標準解法の紹介です:

・標準解法3-1-1 「二重や多重のシステムの形成」

 あらゆる進化段階におけるシステム効率は、そのシステムを他のシステムと組み合わせて二重や多重のシステムを形成することにより改善することができます。

 単純な二重や多重のシステムの形成では二つ以上の要素が組み合わされます。物質、場、物質-場の組み、物質-場システム全体のいずれをも組み合わせることができます。

●例「事務機器」

 事務室にはパソコン、電話、FAX、プリンタ、スキャナ、コピーなど必要な機器がたくさんありますね。でも、それぞれが場所を取ってしまうと、ただでさえ狭い部屋がますます狭くなってしまいます(下図)。
 部屋を少しでも広くするためにはどうすればよいでしょうか?
















http://www.goodb.com/pc/printer/epson/laser/lp-m5600a.html

 ・解決策:

 システムの効率を向上させるために他のシステムと組み合わせて二重または多重のシステムを作ってしまいましょう。この場合、複数の事務機器のいくつかをひとつの多重システムに統合してしまえばいいですね。たとえば、電話、FAX、プリンタ、スキャナ、コピーの機能をあわせ持つ複合機が考えられます(下図)。
















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2010年2月11日木曜日

自転車ボトル

 前回に引き続き、今回もクラス2「システムの進化」に属する標準解法の(再)紹介です:

・標準解法2-2-3 「固体物質の多孔質物質への置き換え」

 物質-場モデル内の固体物質を多孔質物質へ置き換えることにより、物質-場システムの効率を改善することができます。






標準解法2-2-3 固体物質の多孔質物質への置き換え

●例「自転車ボトル」

 サイクリング中に喉を潤せるように自転車ボトルを取り付けたりしますが、ボトル内の水がこぼれないように普段はふたをしておきます(下図)。でも、喉が渇いたとき、ふたを開けるためにいちいち立ち止まるのは面倒ですね。

 立ち止まらなくても済むようにするにはどうすればよいでしょうか?









http://www.webmd.com/health-ehome-9/slideshow-natural-workout

・解決策:

 この状況の物質-場モデルは、左下図のように、水(S1)、ふた(S2)およびこれらの間に作用する機械的場で表わすことができます。機械的場を用いて、ふたで水がボトルの外にこぼれないようにしています。標準解法2-2-3を適用して、固体物質であるふたを多孔質物質に置き換えることになります。でも、どのような多孔質物質に置き換えればよいのでしょうか? 透水性の薄膜など良さそうですね(右下図)。






自転車ボトルのふた(S2)に標準解法2-2-3を適用した例

 普段は水圧が低いので薄膜は水を通しませんが、水を飲みたいときにボトルを握りしめれば充分な水圧が加わり、(液体である)水が薄膜を通過できます。この飲み方だと上を向かなくて済むので安全でもありますね(下図)













http://www.espressoparts.com/RW_04533


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2010年2月10日水曜日

停止灯

 今回からクラス2「システムの進化」に属する標準解法の(再)紹介です:

・標準解法2-2-2 「物質の分割度の増大」

 物質-場システムでツールの役割を果たす物質の分割度を増大することにより、物質-場システムの効率を改善することができます。分割度の増大が進んでいくと、究極的にはその機能を提供することのできる新たな場がツールに取って代わることになります。







標準解法2-2-2: 物質の分割度の増大

●例「停止灯」

 自動車のブレーキペダルを踏むと停止灯が点灯して後方のドライバーにブレーキをかけていることを知らせます。通常、左右一対の停止灯が付いています(下図)。

 安全性を高めるにはどうすればよいでしょうか?







通常の停止灯


・解決策:

 この状況の物質-場モデルは、左下図のように、ドライバー(S1)、停止灯(S2)およびこれらの間に作用する電磁的場で表わすことができます。電磁的場である光を用いて後続のドライバーに知らせています。標準解法2-2-2を適用してツールである停止灯の分割度を増大することになります。でも、停止灯の分割度を増大するとはいったいどのようなことを意味するのでしょうか? 停止灯を分割して、左右一対だけでなく、いろいろな場所に複数取り付けることが考えられます(右下図)。






停止灯(S2)に標準解法2-2-2を適用した例

 多数のLEDなどで構成すれば、形状も変えられて目立ちそうですね(下図)











http://www.shimarisudo.com/souchaku/caldina/index3.html


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2010年2月9日火曜日

切削機

 前回は二つの物質を接触させなくてもよい場合の「有害作用の除去」に関する標準解法でしたが、今回は接触させなければならない場合に対する標準解法の紹介です:

・標準解法1-2-4 「新たな場による有害作用の除去」

 有害作用の除去は、ある物質に対して、望ましくない効果が及ぼさないように物質-場システムを改良することにより行います。

 物質-場モデル内の二つの物質間に有用な作用と有害な作用が働いていて、この二つの物質を直接接触させておかなければならない場合には、二重物質-場システムに変更し、もともとあった場では有用な作用を行うとともに新たに持ち込んだ場では有害な作用をなくす(あるいは有用な作用に変える)ことにより問題を解決できます。











標準解法1-2-4: 新たな場による有害作用の除去

●例「切削機」

 機械工場にはいろいろな工作機械がありますね。高速回転を利用してきれいに切削できる装置もあります。でも、工具と対象物間の摩擦がオーバーヒートの原因となって変形による精度低下を引き起こす恐れもあります(下図)。

 精度を保つためにはどうどうすればよいでしょうか?











http://blog.goo.ne.jp/diamondtree/m/200902/6

・解決策

 この例では、工具は二つの作用をします: まず、対象物を切削するという有用な作用、そしてもうひとつは、熱を発生させるという有害な作用です。これは、物質-場的には、左下図のように、S1の工具が機械場を介してS2の対象物を切削すると同時に加熱してしまうモデルとして表せます。

 標準解法1-2-4に従えば、新たな場を持ち込んで、有用な作用も果たしている既存の場の有害な作用のほうをなくすことになるので、オーバーヒートをなくすことのできる温度場を探してみましょう(右下図)。









S1が生じる二次的有害作用の除去に標準解法1-2-4を適用した例

 温度場は、作業対象物(と工具)を冷やすことにより変形と精度低下を防いでくれる放水装置などで用意することができそうですね(下図)


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2010年2月8日月曜日

風防

前回と同じクラス1-2「有害作用の除去」に属する別の標準解法のひと月ぶりの(再)紹介です:

・標準解法1-2-2 「既存物質の改良による有害作用の除去」

有害作用の除去は、悪さをしようとするツールが作用対象に対して、望ましくない効果を何も及ぼさないように物質-場システムを改良することにより行います。

物質-場モデル内の二つの物質間に有用な作用と有害な作用が働いていて、この二つの物質を接触させなくてもよい場合、これらの間に、第一または第二の物質を改良して得られる第三の物質を挿入することにより問題を解決できます。




標準解法1-2-2: 既存物質の改良による有害作用の除去

●例「風防」

オートバイの前面に風防が取り付けてあったりしますよね。風防は、スピードとともに増大する風圧を緩和してくれます。でも、実はこれが厄介な乱流のもととなっています(下図)。
乱流があまり発生しないようにするためにはどうすればよいでしょうか?





http://www.motorcyclecruiser.com/tech/0905_crup_motorcycle_fuel_economy/photo_03.html

・解決策

この例では、風防は二つの作用をします: まず、ライダーへの風圧を和らげるという有用な作用、そしてもうひとつは、乱流を発生させるという有害な作用です。これは、物質-場的には、左下図のように、S1の風防が機械場を介してS2のライダーを風圧から保護すると同時に乱流に巻き込んでしまうモデルとして表せます。

標準解法1-2-2に従えば、S1またはS2を改良して風防の有害作用を取り除くことになりますが、ライダーの特性を勝手に変えられないでしょうから、S1のほうしかいじれませんね。これを何とか改良して乱流の発生をおさえてみましょう(右下図)。




S1が生じる二次的有害作用の除去に標準解法1-2-2を適用した例

風防の下部に穴を開けると空気が風防の内側も流れることができるので風防の上部における渦の発生をおさえることができます(下図)

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