2010年2月25日木曜日

鎖かたびら

 今回は、前々回のクラス2「システムの進化」に属する標準解法2-2-4の発展形をさらに別の例で見てみましょう。前々回の例はすでに柔軟なシャッターを更に柔軟にするという内容でしたが、今回は「システム全体とその要素による対立特性の分担」で取り上げた鎖かたびらを更に柔軟にしてみましょう。

・標準解法2-2-4' 「(柔軟な)システムの柔軟性の向上」

 (柔軟な)物質-場システムの可動性を向上(すなわち、自由度を増大)させて、より柔軟で素早く変化するシステムへ遷移させることにより、(柔軟な)物質-場システムの効率を改善することができます。
標準解法2-2-4' (柔軟な)システムの柔軟性の向上

●例「鎖かたびら」

 中世の騎士は刃物から身を守るために鎖かたびらを着けたりしていました(下図)。でも最近、この類のものは手に入りにくくなってきましたし、体の自由な動きを妨げているので日常生活には不向きですね。

 着心地が良くて動きの妨げにならず、自由に行動できるようにするにはどうすればよいでしょうか?









鎖かたびら


・解決策:

 この状況の物質-場モデルは、下図上部のように、人(S1)、鎖かたびら(S2)およびこれらの間に作用する機械的場として表わすことができます。鎖かたびらを用いて、機械的場により刃物が人に直接当たらないようにしています。標準解法2-2-4' を適用して、鎖かたびらの柔軟性を向上させることになります。
 でも、どうすれば柔軟性を向上させることができるでしょうか?

 素材をもう少し柔軟なものに変えると良さそうですね(下図下部)。
鎖かたびら(S2)に標準解法2-2-4' を適用した例

 同重量のピアノ線と比べて8倍に相当する強度を持つ超高強力ポリエチレン繊維を生地に使った防刃シャツならば、柔らかくて着心地もだいぶ良さそうです(下図)。









防刃シャツ


 比重が0.94なので軽そうですし、洗濯できるので衛生的観点からも優れていますね。


Copyright notes

This book has been developed in the frame of the TETRIS project funded by the European Commission—Leonardo da Vinci Programme.
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AREA Science Park (Italy) www.area.trieste.it (project coordinator)
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Harry Flosser Studios (Germany) www.harryflosser.com
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Jelgava 1. Gymnasium (Latvia) www.1gim.jelgava.lv
Siemens AG, Sector Industry, Industrial Automation and Drive Technology (Germany) w1.siemens.com/entry/cc/en/
STENUM Environmental Consultancy and Research Company Ltd (Austria) www.stenum.at
Technical Institute for Industry “Arturo Malignani” (Italy) www.malignani.ud.it
The educational center for adults of Jelgava (Latvia) www.jrpic.lv
University of Florence (Italy) www.dmti.unifi.it

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